映画「スーパー・サイズ・ミー」に主演の米監督が死去、53歳

ドキュメンタリー映画「スーパーサイズ・ミー」の監督、モーガン・スパーロックさんが23日、がんのため死去した。53歳だった。

スパーロックさんは2004年に発表した「スーパーサイズ・ミー」で、自分自身が1カ月間マクドナルドのメニューだけを食べて過ごし、健康にどんな影響があるのかを実験した。

この映画の内容は論争となり、アカデミー賞ドキュメンタリー映画部門にノミネートされた。

スパーロックさんはこのほかにも20作以上の映画やドキュメンタリー作品を制作。代表作には、2008年の「ビン・ラディンを探せ! スパーロックがテロ最前線に突撃」や、ボーイズバンド「ワン・ダイレクション」のドキュメンタリー「ワン・ダイレクション THIS IS US」(2013年)などがある。

遺族が広報担当者を通じて発表した声明によると、スパーロックさんはがんの合併症のため死去した。

弟で共同制作者のクレイグさんは、「兄のモーガンにお別れをした。悲しい日だ」と述べた。

「モーガンはその芸術やアイデア、寛容さを通して多くのものを与えてくれた。世界は、創造性に富んだ本物の天才を、特別な人を失った」

スパーロックさんは「スーパーサイズ・ミー」で、自らが主役兼実験台となり、大量のビッグマックとチキンナゲットを食べ、何リットルものコーラを飲んだ。

この30日の実験の中でスパーロックさんの体重は、11キロ増えた。実験を止めなければ健康に危険が及ぶと、医師に宣告された。

スパーロックさんはこの時、体調が悪く元気がないと語っていた。また、血圧やコレステロール値について、医学的な懸念が指摘された。

この映画はまた、アメリカの食品業界に鋭い質問を投げかけることになった。政治的にその気さえあれば、現状よりも健康的な代替品を提供できるのだと、可能性を提示した。

この映画の公開を受け、マクドナルドは自社のメニューを擁護する声明を発表し、スパーロックさんの映画を「非現実的」だと非難した。

マクドナルドはイギリスの新聞5紙にも広告を掲載し、自社の食品は「バランスの取れた食生活の一部」として食べるべきだと述べた。

それでもマクドナルドはその年、スーパーサイズの提供を廃止した

「スーパーサイズ・ミー」の後、スパーロックさんは、アメリカのアフガニスタンでの戦争を「ビン・ラディンを探せ!」で、消費者マーケティングを「The Greatest Movie Ever Sold(史上最高の映画)」で、高齢者介護とギャンブルを米民放CNNのシリーズ番組「モーガン・スパーロック インサイドマン」で取り上げた。

2010年には、米人気アニメ「ザ・シンプソンズ」の20周年特別映画を手がけ、エミー賞にノミネートされている。

一方、2017年にハリウッドでさまざまな人に関する性的暴行疑惑が噴出した際には、自分自身が「この問題の一部」だと告白する文章を書いた。

その中でスパーロックさんは、 レイプで告発されたことがあるほか、セクハラを問題視されて和解金を支払ったこともあると認めた。また、「これまでの妻とガールフレンド全員」に対し、自分は浮気をしていたと明らかにした。

その後、2004年に共同設立した制作会社を退職している。

2019年には「スーパーサイズ・ミー」の続編でスクリーンに復帰。自らのチェーン店を立ち上げ、ファストフード業界が変わったかどうかを調べた。

(英語記事 Super Size Me director Morgan Spurlock dies at 53

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