イトーヨーカ堂が惣菜で圧倒的な差別化に挑む 新ブランド「ヨーク・デリ」立ち上げ一本化 ハトマークあしらい不退転の覚悟

イトーヨーカ堂(IY)は惣菜で圧倒的な差別化に挑む。

新ブランド「ヨーク・デリ」を立ち上げ、複数あったブランドを「ヨーク・デリ」に一本化する。認知拡大を図るとともに、店舗改装を伴う抜本的な改革で品質とおいしさに磨きをかける。

この方針のもと、イトーヨーカドー大森店(東京都大田区)もこのほど改装。壁側のみで展開していた惣菜売場を改め、スペースを広くとり島什器を導入した。

四方全部の面が来店客の目に触れる島什器で視認性を高めていくのが狙い。

イトーヨーカドー大森店の改装された惣菜売場に立つ山本哲也社長(右)と伊藤弘雅取締役執行役員商品本部長

島は、寿司類・弁当類・弁当&サンドイッチ類・温惣菜類・冷総菜類に大別され、全ての島でPOPや動画、パッケージへの印刷で「ヨーク・デリ」を大々的にアピールしている。

5月22日、同店で発表したIYの山本哲也社長は、セブン&アイグループ戦略の軸となる食へのフォーカスや昨年10月に掲げた25年度目標の惣菜売上構成比15%を踏まえ「我々の中で惣菜は極めて重要なポジション。品質・品揃え・オリジナリティで圧倒的な差別化を図っていく」と意欲をのぞかせる。

「ヨーク・デリ」は全店舗に導入される。

品揃えはインストア(店内調理)とプロセスセンター(PC)から供給されるアウトパックをあわせて250品強。

今後、300品程度へと拡充していく。現在、250品のうち50品が「ピースデリ」で占められる。

「ヨーク・デリ」と並ぶ「ピースデリ」のロゴ(右)

「ピースデリ」は、セブン&アイグループ初の共通セントラルキッチン「Peace Deli千葉キッチン」から供給されるもので「ヨーク・デリ」に包含される。

「ヨーク・デリ」が目指すのは“毎日食べたいおいしさ、食べ飽きない味”。「出汁・素材・工法にこだわり、IYでしか買えない商品というものを今後も開発していく」。

この考えのもと、25年度にはIYオリジナル比率100%を目指す。

インストア比率は「ピースデリ」の導入により下げていく方針。
ただし「インストア比率を下げることが目的ではなく、アウトパックで工数を減らした分を今までインストアでやりたくてもできなかった新メニューに工数をかけていく」。

「京の米老舗 八代目儀兵衛」監修ごはんを採用した弁当

新メニューの1つが、だし巻きたまご。

長期契約している産地のオリジナル卵を、新たに導入した玉子焼焼成専用機で店内調理し、店内焼きだし巻きたまごとして販売しているほか弁当にも活用している。

「通常の鉄板では1本つくるのに3分かかるが、専用機では2分30秒で2本つくれる」と伊藤弘雅取締役執行役員商品本部長は胸を張る。専用機は6月以降、102店舗へ順次導入される。

弁当については、ごはんを中核に位置付け、セブン-イレブン・ジャパンの協力を得て「京の米老舗 八代目儀兵衛」がごはんを監修。「お弁当にとって一番いいお米のブレンドをお願いした。ブレンドだけではなく、“冷めてもお米の甘味が出る”炊飯の仕方を含めてご指導いただいている」という。

通常のごはんも品揃えし、「八代目儀兵衛」のごはんにはシールやPOPなどで訴求している。

大田区の学校給食の人気メニューを再現した「たこぺったん」

冷総菜は「ピースデリ」を中心にラインアップ。

地域メニューも積極的に取り入れていく。大森店では大田区の学校給食の人気メニューを再現した「たこぺったん」を販売している。

「ヨーク・デリ」のブランドロゴにはハトマークをあしらっている。純白の鳩には平和への思いを込め、「ヨーク」の言葉はIY衣料品PBの第1号が起源となっている。

山本社長は「ハトマークのロゴを使うということは、お客様を裏切ることはできない。それだけの思いと覚悟を持って『ヨーク・デリ』ブランドを育て上げたい」と力を込める。

© 株式会社食品新聞社