【ラグビー】慶大、逆転に次ぐ逆転で日大を下す 試合終了間際の劇的トライ/関東大学春季大会第3戦 対日本大学

雨が心配な厚い雲に覆われる中、ホームの慶大日吉グラウンドで対日本大学戦が開催された。日大は筑波大と立大を連続で制し、立大と東洋大を下してきた慶大とは、関東大学春季交流大会でここまで無敗の2校同士の対決となった。慶大は前半開始後3分、15分で主将中山大暉(環4・桐蔭学園)冨永万作(商4・仙台第三)がそれぞれトライを決め先制点となったものの、その後3トライを許してしまい前半は12ー19で終える。後半開始5分、前回の東洋大戦でも3トライの大活躍だったスーパールーキー小野澤謙真(環1・静岡聖光学院)がトライを決め、ようやく追いつく。しかしその8分後にはまたトライを決められるなど一進一退の展開を繰り広げたが、後半39分に冨永が2トライ目となる決定的なトライを決め、慶大がシーソーゲームを制した。

2024年5月19日(日)関東大学春季交流大会 対日本大学 @慶大日吉グラウンド

○慶大 38{12―19、26―12}31 日大●

関東大学春季交流大会 第3節慶應義塾大学	2024/5/19(日)12:00 K.O.	日本大学前半	後半	前半	後半2	4	トライ(T)	3	21	3	コンバージョン(G)	2	10	0	ペナルティゴール(PG)	0	00	0	ドロップゴール(DG)	0	012	26	計	19	1238	合計	31前半3分 中山(T)	得点者	前半21分  セコナイア(T)
慶應義塾大学#	氏名	身長(cm)/体重(kg)	学年学部	出身校1	成田 薫	181/104	経4	慶應2	中山 大暉	176/103	環4	桐蔭学園3	吉村 隆志	177/108	環4	本郷4	矢﨑 隼太	184/94	政3	県立千葉5	長瀬 穣一郎	187/104	政4	山形南6	岩垂 樹希	177/90	政3	慶應7	田沼 英哲	176/95	総4	國學院大学久我山8	冨永 万作	188/105	商4	仙台第三9	小城 大和	168/72	商4	北嶺10	大川 竜輝	172/85	理3	慶應11	石垣 慎之介	175/80	政3	慶應志木12	今野 椋平	183/88	環3	桐蔭学園13	山本 大悟	174/84	環3	常翔学園14	伊吹 央	176/81	経3	慶應15	小野澤 謙真	180/85	環1	静岡聖光学院
日本大学#	氏名	身長(cm)/体重(kg)	学年学部	出身校1	中野 裕翔	170/98	スポ4	京都成章2	本間 颯太	170/98	法4	國學院久我山3	江藤 大輝	176/108	商4	大分東明4	岡 亮太	191/107	文理2	佐賀工業5	セコナイア・ブル	192/123	文理4	大分東明6	ワイサレ・セレヴィ	187/100	文理4	オーディアハイスクール7	柴田 爽翔	175/85	商2	日本大学8	四宮 勇斗	167/88	スポ4	京都成章9	福田 涼平	170/76	商3	京都成章10	柏原 慶太	172/77	商3	東海大相模11	石黒 康生	175/86	スポ4	岐阜工業12	古寺 将希	167/82	スポ2	布施工科13	ジョアぺ・ナコ	182/98	スポ4	大分東明14	森本 福壽郎	170/74	スポ1	脇町15	徳永 優太	174/86	文理4	佐賀工業
慶應義塾大学	日本大学100.3kg	FW平均体重	100.8kg803kg	FW合計体重	807kg179.3cm	FW平均身長	177.5cm

日大のキックオフから始まった前半は開始3分、ゴールライン際のラインアウトからモールで押し込み中山がトライを決め先制点とすると、15分にはスクラムから上手くボールを繋げ、冨永がスムーズにトライを奪った。しかしその後は体格差に負けず良いディフェンスを見せながらも21分、30分、35分と立て続けにトライを決められてしまう。これまでの2戦では前半から大差をつけていた慶大だったが、12ー19と7点を追いかける状態で前半を終えることとなった。

しかし後半、チャンスはすぐに訪れた。後半5分、慶大ボールのラインアウトからボールを繋ぐと、大川竜輝(理3・慶應)山本大悟(環3・常翔学園)今野椋平(環3・桐蔭学園)が倒されながらも陣を大きく進め、最終的には左サイドでパスを受けた小野澤がトライを決めた。その後の今野のコンバージョンキックも決まりようやく同点に追いつくが、8分後にはまた日大にトライを奪われ、追いついては引き離されという展開が続き、後半33分に笠原悠真(政2・慶應)がトライを決めた時点で31ー31の同点であった。何度も訪れるピンチを決死のタックルで耐え凌ぎ、このまま同点でノーサイドを迎えるかと思われたが、試合終了直前の後半39分、日大がキックパスをしようとしたところを捕えた笠原は4回ボールを前に蹴り出して大きく陣地を回復させチャンスを作る。一度はボールを奪われるものの、敵地のゴールライン間際で相手の反則を誘うと、タップキックですぐにプレーを再開しあっという間にトライを決めた。残り約1分は長くも感じられたが、ノーペナルティのままリードを守りきり、ノーサイドを迎えた。

主将中山の安定したラインアウト

今回の試合では先制点は取ったものの、全体的にはリードを許し、それに追いつき、また越されるという苦しい試合展開だった。体の大きい選手を相手に押されることも多かったが、ちょっとした隙も見逃さない慶大の冷静さが今日の勝敗を分けたのだろう。また、後半7分でスクラムハーフが副将小城大和(商4・北嶺)に代わり出場した橋本弾介(法3・慶應)の存在も大きかった。常に冷静に状況を判断し的確なパスを得意とする小城に対して、橋本はSHでありながらも自らタックルを仕掛けるなどパワープレーを得意とする選手で、今回はこの橋本の起用により後半から勢いづいたと言って良いだろう。ここまで大差で勝利してきた立大戦、東洋大戦とは打って変わって、今回の日大戦は見事なシーソーゲームであった。この試合を勝てたことは、この後6月16日に控える筑波大戦に向けて大きな意味を持っただろう。今年のチームスローガン「No Magic」に込められた意志の通り、これからも「奇跡に頼ることなく、ひたむきに練習を重ね勝利を掴」んでいってほしい。

日大にボールは譲らない
前に前にボールを進める

(写真・取材:梅木陽咲、野田誉志樹、本橋未奈望 記事:宇田川志乃)

以下、選手インタビュー

中山主将

ーー今日の試合を振り返っていかがでしたか

本当にシーソーゲームに勝ちきれたっていうのは一つありますね。今年の慶應の勝ち癖のつく試合だったかなというふうに思っています。その中でやっぱりセットプレーだったり、戻るスピード、タックルの精度というところは一試合重ねるごとに伸びてる部分だと思うので、今後伸ばしていきたいポイントかなというふうに感じた試合でした。

ーー後半から勢いがついたように見えたが前半と後半で変わった点は?

変わったメンバーがすごくエナジー出して、こうチームを盛り上げて良いプレーもしてくれたので、そこが一番ですね。まあ最後後半伸びた要因かなというふうに考えています。

ーー次の対戦、筑波大学との試合の抱負をお願いします。

春季大会グループBの優勝も見えてきてると思うので、筑波大学は去年対抗戦で負けた相手なので、しっかり自分たちの攻める慶應っていうラグビーを出して勝って優勝できるようにしたいなと優勝に近づけるように頑張っていきたいと思います。

冨永選手

ーー今日の試合を振り返っていかがでしたか

入りで先制トライして、結構フィジカルで勝てるかなと思ったんですけど、途中から外国人とか、自分たちが受けに回っちゃったところがあって、前半はそういった受けの姿勢で、後半はもう一回自分たちがやることをやって、ボクシングのようにカウンターを喰らわせよう、という感じで行ったんですけど、その結果勝利への執着ってところで最後勝ちきれたかなと思います。

ーー今回は2トライを決めていましたね

1トライ目も2トライ目も、みんなが繋いで頑張って敵陣に行ったところを最後僕がもらった形だったので、やっぱり1トライ目はゲインした、ボールキャリーで前に出たのもそうですし、2トライ目はちゃんとドリブルして選手が繋いでくれたものを最終的に僕が取りきれたトライだったかなと思います。

ーー次の筑波大戦に向けて意気込みをお願いします

昨シーズンは春も秋も負けて悔しい思いをしてきたので負けられないところもありますし、秋の対抗戦に向けて、いい印象を与えて圧倒できるように、もう一度見つめ直して頑張っていきたいなと思います。

橋本選手

--今日の試合を振り返って

春シーズンが始まってから、1番厳しいゲームだったと思います。追いつ追われつのシーソーゲームは今年初めてでしたが、その中で勝ち切れた良い試合でした。

--後半、自ら相手のフォワードをタックルで止めに行くシーンが多く見受けられましたが、ご自身の今日のプレーはいかがでしたか?

今日は控えからの出場だったので、他のメンバーより元気な分走り回って体をぶつけて、チームを勢いづけようという意識が強かったです。

--筑波戦に向けて、意気込みをお願いします。

僕が去年出た試合は筑波大に負けてしまったので、今年は春秋とも勝てるようにしっかり準備していきたいです。来週には明治戦もあるので、強い相手にチャレンジして頑張ります!

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