鈴木財務相「財政圧迫する可能性」、市場動向注視と日銀総裁 長期金利上昇で

Yoshifumi Takemoto Takahiko Wada

[25日 ロイター] - 鈴木俊一財務相は25日、訪問先のイタリア北部ストレーザで会見し、長期金利が12年ぶりの水準まで上昇したことについて、財政を圧迫する可能性があるとした上で、「これまで以上に引き締めて財政健全化を進める必要がある」と語った。会見に同席した日銀の植田和男総裁は、市場の動向を注視していく考えを示した。

主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議の閉幕後に会見した鈴木財務相は、長期金利上昇の要因について「経済情勢、金融政策、投資家の見通しやセンチメントなどさまざまな要素がある」と指摘。「低金利のもとで、国債発行することができたこれまでとは異なる金利のある世界が到来した」と強調した。

日銀の植田総裁は「短期的な金利の動向やその水準について、具体的なコメントを差し控える」とした。その上で、3月の金融政策決定会合で従来とおおむね同程度の金額で国債買い入れを継続することを決めたと説明し、そのもとで長期金利は「市場で形成されるのが基本となる」と述べた。「市場の動向を今後とも丁寧にモニタリングしていく」とも話した。

鈴木財務相によると、G7会合では為替市場の過度な変動は経済の安定に悪影響を与えるとした過去の合意を再確認した。制裁で凍結したロシアの資産をウクライナに活用する案については、国際法と整合的な形で6月のG7首脳会談に判断材料を与える作業を進めることで一致した。

植田総裁によると、会合ではロシアによるウクライナ侵攻や世界的なインフレ動向などを踏まえた経済見通しと金融政策についても議論した。植田総裁は「物価と金融の安定が持続可能でバランスの取れた経済成長の前提条件との認識が共有された」と述べた。

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