【日本ダービー】調教パートナー・藤岡康太の予言「ジャスティンミラノが3歳の勢力図を変える」

5月12日(日)、テレビ東京で「栄光へ駆ける 日本ダービー&オークス2024」が放送された。

2021年に生まれた3歳馬7906頭の頂点であり、競馬界最高の栄誉である日本ダービーとオークス。

この2つのタイトルを手にするために今年も人馬ともに熱い戦いを繰り広げる。その熾烈な戦いを勝ち抜いて夢の舞台へエントリーしてきた各馬に秘められたエピソードや関係者たちの知られざる想いに迫った。

20年来の付き合いから生まれた調教助手同士の強い絆

混戦模様とされた今年の3歳牡馬クラシック戦線。第1冠目となった皐月賞を制したのはジャスティンミラノだった。

直線を力強く突き抜けて快勝した姿は世代の王者にふさわしいもので、時計も1分57秒1というコースレコードを記録。3戦無敗での戴冠でダービーでも最有力の1頭となった。

そんなジャスティンミラノはレースから4日後、栗東トレーニングセンターに戻っていた。リラックスした様子で過ごすジャスティンミラノに対し、普段の世話をしている調教助手の山田正和はこう評した。

「2歳の頃に比べるとオンとオフが付くようになってきた」

基本的にはおとなしい馬でも調教で乗ろうとすると、気合いが入るというタイプの馬だったジャスティンミラノだが、そうしたメリハリがつくようになったことでレースへの集中力を増したことは間違いない。

大学卒業以来、20年以上もこの世界にいるホースマンである山田にとってジャスティンミラノは初めて担当したGⅠ馬。それだけに思いも強い。

そんなジャスティンミラノの日々の調教を担当しているのが藤本純調教助手。3歳違いながら山田と藤本はホースマンとしては同期生で20年来の付き合いがある。

「昔からの長い付き合いで言いたいことを言える。それが皐月賞の勝利につながった」と、藤本は言う。同期の2人がタッグを組んで挑むダービー。2人の強い絆がジャスティンミラノの二冠制覇へ後押しすることだろう。

「3歳の勢力図を変える」調教パートナー・藤岡康太の予言

ジャスティンミラノが皐月賞を制した際、関係者はこぞってある人物の名を挙げた。

「康太のおかげで勝てました」(藤本純調教助手)

「康太が後押ししてくれた」(戸崎圭太騎手)

「康太君はうちの厩舎の調教を手伝ってくれて、ジャスティンミラノに最後まで乗ってくれた。この勝利は彼のおかげ」(友道康夫調教師)

"康太"とは、4月10日に35歳でこの世を去った藤岡康太騎手のこと。

昨年のマイルCSをナミュールで制するなどの活躍を見せる一方で、友道厩舎の管理馬の調教を担当。ジャスティンミラノにはデビュー前から乗って、ずっと調教を付けてきた。

デビュー前から乗ってきて、ひとつひとつ仕上げてきた藤岡康太だからこそ、ジャスティンミラノの高い素質にいち早く気付いた。友道はこう回想した。

「共同通信杯の1週前の調教に乗った際、康太が『3歳の勢力図を変えるかも』と言っていた。手ごたえを感じた様子だった」

藤岡康太の予感通り、ジャスティンミラノは共同通信杯を制して皐月賞へ有力馬として挑んだ。その時の1週前調教に跨った際、「1週前の動きとしては最高でした」と友道に騎乗しての印象を伝えてくれたと言うが、これが友道と藤岡康太の最後の会話となってしまった。

藤岡康太が天に召されてから4日後に行われた皐月賞、ジャスティンミラノは直線で力強く抜けてきて快勝。「勢力図を変える」という藤岡康太の予言は現実のものとなった。

調教師として現役最多タイとなるダービー3勝を挙げている友道はジャスティンミラノで4勝目を狙っているが、その思いはこれまで以上に強いという。

「(ジャスティンミラノがダービーを勝てば)『藤岡康太が調教した馬』として、ファンの心の中にも胸に刻まれる。康太のためにも頑張りたい」

騎手、調教助手、そして調教師......藤岡康太を軸に強い絆で結ばれたメンバーが集結してダービーへ挑むジャスティンミラノ。絆の強さで無敗での二冠達成を果たすだろうか。

※Youtubeチャンネル「テレビ東競馬チャンネル」では「栄光へ駆ける 日本ダービー&オークス2024」を見逃し配信中!
ジャスティンミラノの詳細はこの動画をチェック!
https://youtu.be/-Wmcvenjy0c

■文/福嶌 弘

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