水戸藩と薬草の歴史学ぶ 植物園大会最終日 80人参加 茨城

西川綾子園長(右)から説明を受ける植物園関係者=水戸市小吹町

日本植物園協会第59回大会は最終日の25日、全国の植物園関係者ら約80人が茨城県水戸市の市植物公園など市内を視察し、水戸藩と薬草の歴史について理解を深めた。公園内で栽培した薬草を使った薬膳カレーを味わい、弘道館では水戸藩が編集した医薬書を見学した。

一行は市植物公園の西川綾子園長の案内で散策。薬草園には2代藩主徳川光圀と9代藩主斉昭にゆかりのある薬草が150種ほど栽培され、参加者は腰をかがめて見入っていた。昼食は、江戸時代に「水戸当帰」の名で流通したセリ科の「トウキ」が入った薬膳カレーを楽しんだ。

弘道館では水戸藩の製薬事業や領内の薬草をまとめた展示を見学し、領民のために光圀が編集した医薬書「救民妙薬」について弘道館事務所の小圷のり子主任研究員が解説した。ページの端が黒ずむほど読み込まれた同書の展示を前に、小圷研究員が「野山で採れる薬草がほとんどで、文字は大きく、全ての漢字に振り仮名を付けている。大正時代まで版を重ねたロングセラー」と説明すると、感嘆の声が上がった。

このほか、多彩なバラが咲き競う英国式庭園「七ツ洞公園」(同市)も散策。バラの管理について熱心に質問する参加者もあった。

福岡市植物園の職員で、薬膳師の国際資格を持つ二又徳子さん(55)は「薬膳料理で薬草の効能を学ぶ取り組みは参考にしたい。水戸藩の時代から息づく植物園の素地に触れた一日だった」と話した。

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