【コラム・天風録】パン人気しぼます衝撃

 日本の食に外国人が驚く。そんな動画が投稿サイト「ユーチューブ」で数多く見られる。有名店などで口にして「すばらしい」と。中に日本のパンを紹介する動画がある。質が高くて種類も多いと称賛される▲「あんぱん」誕生から150年。職人の飽くなき探究心が幅を広げ、味を高め、日本の食に定着した。メロンパンや総菜パン、デニッシュなど多彩。元は向こうの主食だろうに、「自国のパンよりおいしい」の声まで▲材料の吟味や取り合わせ、製法のこだわりなど進化と工夫が続けられてきた。味はもちろん最近は「映える」要素も意識され、話題を呼ぶパンは全国各地にある。一堂に集めたイベントへ大勢が押し寄せるのもうなずける▲それだけに出品者やパン好きは裏切られた思いのはず。広島の商業施設で開催中の催し「パンタスティック‼」が急きょ中止され、東京や福岡の予定も取りやめに。展開する呉の会社が資金繰り悪化で事業を停止した▲売り上げが振り込まれない店、泣く泣く半額で売った店も。小麦が高値の折も折、損失は大きい。膨らんできた人気がしぼまないか。パンの愛好者とともに乗り越えて、日本のパン発展の糧とするしかない。

© 株式会社中国新聞社