「年金月17万円」「貯金1,500万円」の80歳父、「有料老人ホーム」に入居で息子、安堵も〈想定外の請求額〉に唖然「目を疑いました」

(※写真はイメージです/PIXTA)

子世代に重くのしかかる介護負担。仕事との両立に限界を感じ、悲鳴をあげているケースも。そんなとき、選択肢のひとつになるのが「老人ホーム」です。昨今は終の棲家としても人気が高まっていますが、問題になるのがその費用。シミュレーションをしっかりしておかないと、とんでもないことに。みていきましょう。

父親の介護に限界!老人ホームへの入居を検討し始めたが…

――もう無理だ!

悲痛な思いを綴った50代の男性。思わずネットに気持ちを吐露した理由、それは「親の老人ホーム費用」。

80歳になる父親が老人ホームに入所したのは、さかのぼること2年ほど前。父親は妻(男性の母)を亡くし、自宅で1人暮らし。そんななか家の中で転倒、骨折したことがきっかけで、移動・歩行の際には人の助けが必要に。(比較的)近くに住んでいた男性は、仕事と介護の両立の日々を送っていたといいます。

ただ体力的にしんどく、老人ホームへの入居を検討するよう、父親に促したといいます。そこでネックだったのが、父親の状態。人の助けがないと移動が困難とはいえ、頭は非常にクリア。だからでしょうか、

――年寄りばかりのところには入りたくない!

――(いや、あなたも十分年寄りだよ)

老人ホームに対する要望はかなり高いものだったといいます。確かに、要介護で認知症が進んでいるような入居者が多い老人ホームでは、父親も孤立してしまうことでしょう。自立している人も多く入居し、介護サポートも充実していて……そんなサービスが充実する老人ホームは、当然価格も高めでした。

当時、父親の貯蓄は1,500万円ほど。そして月々の年金額は17万円程度(手取り15万円程度)。それに対し、候補に上がったホームは、入居一時金が1,000万~2,000万円、月額費用が25万円前後。

――入居一時金は貯蓄で払える範囲にしても、月額費用は年金+10万円は必要。老人ホームへの入居期間は平均4~5年といわれているから、最低、600万円ほどの貯蓄が必要……

そんな皮算用を繰り返していると、「親父が4、5年で死ぬことを前提に考えていて……なんかイヤだな」と、気分が滅入ったといいます。それでもなんとか決めたのは、入居一時金は1,000万円。月額費用は月24万円という「介護付き老人ホーム」。看取りも対応しているから、終の棲家としても安心。そう考えての入所でした。

入所して初めて「老人ホームからの請求」…想定外の金額に仰天

老人ホーム費用、5年ほどは父親の貯蓄&年金で賄える……シミュレーション上はそうでした。しかし、その算段は、入所して初めの1ヵ月でもろくも崩れ去ります。

――えっ、何でこんなに高いんだ? 月24万円だったはず

老人ホームからの初めて月額費用の請求&引落し。明細をみた男性は目を疑ったといいます。請求額は29万円ほど。想定よりも5万円も高いものでした。月額費用に含まれるのは賃料や管理・水道光熱費・食費で、雑費は含まないことは入所前に説明がありました。しかし5万円もかかるとは……。

有料老人ホームでは、月額利用料のほか「おむつなどの日用品」「嗜好品」「理美容代」「医療費」「レクレーション参加費」などが別途かかり、月額費用とは別に平均月2万円程度が別にかかるといわれています。そんな金額を考えずに費用計算をしているケースは多く、何が月額費用に含まれ、何が含まれていないのか、入所前に細かく聞いておくことが重要です。

さらに想定外だったのが、昨今のインフレ。父親の入所から1年後ほど経ったとき、施設から「月額費用の値上げ」の連絡があったといいます。このご時世、人件費はもちろん、水道光熱費や食費も値上がり。このままの価格では、ホームの運営が立ち行かなくなる……時代の流れ、仕方がありません。ただ値上げ額は月3万円にもなるというから、男性も思わず「えっ⁉」と大きな声が出てしまったといいます。

入居一時金を払った後の、父親の貯蓄額は500万円ほど。1年目は170万円ほど貯蓄を取り崩しました。2年目は月額費用が「24万円」→「27万円」に。さらに毎月の雑費についてもインフレの影響で、月5万円ほどとなり、取り崩し分は200万円を超えそう。そうなると3年目で貯蓄はすべて底をつくのは見えています。

そんな計算をして、思わずネットに投稿したのが冒頭の言葉。男性のように、親の介護費用に右往左往される子供世代は、今後、ますます増えていくといわれています。親が長生きをすればするほど、子供は経済的負担を強いられる。そんなケースもあるでしょう。

長寿であることが、なんら、おめでたくもない……そんな時代が訪れようとしています。

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