「一等地の地主」って、普段は何してるの? 富裕層の驚きの暮らしとは(後編)

合コンで「3万置いて先に帰る」女性のナゾに迫る!後編です

あれもこれも、すべて私が作った。驚くべきその生活

彼女は、品川駅の近くで家族と一緒に居を構えていました。それを聞いたぼくが、「高輪口を出て、右行って、左行って、右に行ったところにある地下のワインバー美味しいよね」と特に何も考えずに言うと、「ああ、あそこいいよね。よく行くよ」と彼女は言います。

駅の周りにはたくさんの飲食店があります。その中で、ぼくが唯一通う店に、彼女も通っていたのです。ここからの会話が弾みそうです。

ぼくは気分が高揚するのを感じましたが、彼女の次の一言で、心の風船は一気に萎んでしまいました。

「あそこ、あたしが作ったの」

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彼女が作った店でした。ぼくは、目の前の綺麗な女の子が趣味で作った店に通っていたのです。ぼくは、お釈迦様の手の上を飛び回る孫悟空のような気持ちになり、品川の話をこれ以上続けることはできませんでした。

さらに、ぼくが代官山に住んでいることを伝えると、彼女は住所を聞いてきました(当時、ぼくは代官山の2畳の家に住んでいた)。「おや?家に来ようとしているのかな?」と若かったぼくは推測しました。でも、全然違った。

「ああ、あのあたりね。そこもあたしの土地」

彼女の土地でした。ぼくの行く店もぼくの住んでいるところも彼女のものでした。

もしかしたら、ぼくが当時使っていたスマートフォンも彼女が作ったのかもしれません。海外で話題になっていた画期的な新薬開発も彼女の仕業かもしれないし、うちの近所の駄菓子屋が改装したのも彼女が手を回したのかもしれません。

ぼくは目眩がしました。

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これだけお金持ちなのに気づかなかった理由

神は6日間でこの世界を作ったそうですが、彼女も6日間でぼくの世界を作りました。そして、7日目の今は休んでいます。

たくさんのお金持ちと知り合いましたが、彼女ほど資産があって、さらに、ぼくの生活に影響を与えている人はいなかったと思います。

彼女の素敵な点は、子供銀行券みたいな額の資産があっても、ブランド物で着飾ることはしていないことです。バーキンの鞄も持っていないし、宝石も身につけていない。

ネイルや髪型にこだわりもないようでした。だから、一見して、とてつもないお金持ちだとは気づかない。

稀に、金持ち過ぎてユニクロばかり着ているおじさんやジップロックを財布にしているおじさんがいますが、彼女も同じように、生まれつきの裕福さにより、堅実な生活が身についたのかもしれません。

彼女は、ルブタンやベルルッティを身に纏う成金ばかりを見て胸焼けしていたぼくの心を癒やしてくれました。

自分が大金を得たときは、彼女の堅実な装いを思い出し、品のある生活を送ろうと思います。

(本記事は2020年9月初出の記事に2023年8月加筆修正を行いました)

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