柔道優秀指導者に片渕さん(大和中教諭)選出 世界王者の田中選手を中学時代指導

片渕さんから指導を受けた田中選手。4月の全日本選抜体重別選手権でも優勝した=福岡市

 柔道のアジア大会や世界選手権で頂点に立った田中龍馬選手(SBC湘南美容クリニック)を昭栄中時代に指導した大和中教諭の片渕健太郎さん(34)=小城市=が、全日本柔道連盟の優秀指導者に選ばれた。世界で活躍する選手を育てた指導者を表彰しており、佐賀県内からの選出は初めて。片渕さんは「指導者としてこれ以上ない喜び」と話している。

 昨年の世界選手権と2022年の杭州アジア大会・アジアパラ大会のメダリスト育成に携わった12人が受賞した。田中選手はアジア大会男子66キロ級で頂点に立ち、初めて臨んだ先日の世界選手権でも優勝。目指す五輪出場に向けて着実にステップアップしている。

 片渕さんは佐賀商高時代に全国総体の個人60キロ級で3位入賞。広島大大学院修了後、保健体育科の教員として昭栄中に赴任した。1年目から柔道部顧問となり、1年生の田中選手はその年の入学式の日から稽古に参加した。

 田中選手は当時から日本一と五輪出場を目標に掲げていた。練習後にも自主練習を欠かさず、常に柔道を第一に考えた生活を送っていたという。片渕さんは感覚で説明しがちな一つ一つの動きを、かみ砕いて教えることを心がけてきた。

 指導をする上で大切にしているのは「柔道を通した人間形成」。「投げた、投げられたも大事だけれど、柔道を通して礼儀作法などを学んでほしい」と話す。田中選手からも、世界選手権優勝を祝福するメッセージを送るとすぐに「なんとか結果を残すことができました」と返信があった。

 県内の高校生や県出身選手の活躍は目覚ましいが、中高生の柔道人口は減少が続く。片渕さんは「人として成長できる柔道の魅力を伝えて、もっと裾野を広げていきたい」と競技普及に取り組む考えだ。(北川尊教)

世界で活躍する田中龍馬選手を指導し、全日本柔道連盟の優秀指導者表彰を受けた片渕健太郎さん=佐賀市の佐賀新聞社

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