やっちまったぁ(涙)…ウキウキの投資初心者が「しょっぱなから大ケガ」しかねない「危険な投資スタイル」とは【経済評論家が助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

資産形成を目指し、投資デビューする人が増えています。しかし一方で、短慮な投資行動により、大切な虎の子の軍資金を吹き飛ばしてしまうといった、残念な結果になる人も少なくありません。投資初心者が着実な投資を継続するには、どのような注意点があるのでしょうか。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

1つの銘柄だけを持たないで!→銘柄分散すれば、リスクが減る

株式投資には、株価下落のリスクがありますが、値上がりのチャンスもあります。1つの銘柄だけを持っていると、大損するリスクがありますが、3つの銘柄を持っていれば、3つとも値下がりして大損する可能性は大きくありません。大儲けのチャンスは減りますが、それは仕方のないことです。

さらに多くの銘柄の株式を少しずつ買えばよいのですが、それには結構な金額が必要です。そこで検討したいのが投資信託です。

投資信託というのは、プロが大勢の投資家から少額の資金を集めて、多数の銘柄の株式を購入し、儲かっても損してもそのまま(手数料を差し引いて)投資家に返還する、というものです。

したがって、少額の資金でも多くの銘柄の株式を少しずつ購入したのと同じ結果が得られることになるのです。多くの銘柄には値上がりするものも値下がりするものもあるでしょうから、大損は避けられるでしょう。

一度に大量に買わないで!→時間分散すれば、リスクが減る

もうひとつ重要なのは、一度に大量に買わない、ということです。運悪く大量に買ったときが株価の高値だったとすれば、大損する可能性があるからです。

そこで、毎月少しずつ購入する「積み立て投資」が重要となります。毎月買えば、結果として高い時も安い時も買ったことになりますから、大儲けは狙えませんが、大損のリスクは格段に小さくなるはずです。それ以外にも、積み立て投資のメリットは数多くあります。

開始時期を悩まないで!→積立投資なら、株価を気にしなくてOK

一度に買おうとすると、「もう少し下がってから買おう」と思いながら、いつまでも買えない、ということになりかねません。そして、株価が暴落すると怖くなって手が出せなくなる、といったことにもなりかねません。

積み立て投資であれば、たとえば10年間積み立てる予定であれば、来月株価が下がっても、120分の1だけ失敗しただけですから、気になりません。いつでも思い立った時に始められるのです。

たとえば平成バブルのピーク時に積み立て投資を始めた人は、大儲けしているはずです。その後に株価が暴落して低迷していたので、安い値段で大量に買えていたはずだからです。暴落時に積み立てをやめていなければ、ですが。

投資初心者はプロに勝てない→何も考えず、ひたすら積立すべし

株式市場では、プロと初心者が対等の条件で闘っています。そして、値下がりを予想するプロの売り注文と値上がりを予想するプロの買い注文が激突した結果として今の株価が形成されているのです。そんな時に初心者が「もう少し下がりそうだから買うのを待とう」などと考えるのは、自信過剰でしょう(笑)。

さらに問題なのは、初心者は株価上昇が続くと「急いで買わなければ」と焦って高値掴みをし、株価が暴落するとこの世の終わりが来るような気がして狼狽売りをすることが少なくありません。

つまり、初心者は自分で考えると間違えるのです。それなら、毎月一定額を積み立てると決めて、あとは何も考えずに金融機関に淡々と積み立ててもらえばよいのです。

重要なことは、株価が暴落して怖くなっても積み立てをやめないことです。自分で考えると間違えるからルール通りに運用することにしたのに、暴落時に積み立てを止めるということは自分で考えて行動してしまうことですから。暴落した時に積立を続けていれば、数年後に「安い時に大量に買えてよかったね」と思える可能性が高い、ということをしっかり認識しましょう。

毎月一定額の積立で、安いときに多く買う!

毎月一定額を積み立てるということは、高い時には少ない数量しか買えず、安い時に多くの数量を買える、ということです。したがって、平均購入単価が毎月の株価の平均より安くなるのです。

毎月3万円ずつ積み立てるとして、先月の株価が3万円なら、1口しか買えていません。今月の株価が1万円だとすれば3口買えています。6万円で4口買えているので、平均購入単価は1万5,000円です。毎月の株価の平均は2万円なのに。

上がっても下がっても喜べるのは、精神衛生にもヨシ

積立投資をしていると、株価が上がったときは、「自分の財産が増えた」と素直に喜べます。

株価が下がった時には、「今月は安く買えた」と喜べばよいのです。どうせ売るのは数十年先なのですから、今の株価が安いことを憂いても仕方ありません。今の株価が安いことは、むしろ喜ぶべきことなのです。

かくして、ポジティブ思考の人は、積み立て投資をすることによって常に冷静さを保つことができます。ストレスを感じないで投資が続けられる、というのは大きなメリットなのです。

ネガティブ思考の人は、積み立て投資でも普通の投資でも、ストレスを感じ続けるはずですが、それは勿体無いことです。余計なお世話ですが、ポジティブ思考に切り替えた方がよいと思いますよ。

本稿は以上ですが、投資判断等は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があります。

塚崎 公義
経済評論家

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