認知症による死亡リスクの抑制にはオリーブ油が効果的?【役に立つオモシロ医学論文】

マヨネーズ、マーガリンからの切り替えも有効

【役に立つオモシロ医学論文】

高齢化が進む現代社会では脳卒中や心臓病で亡くなる人が減少傾向にある一方で、認知症の進行に関連した合併症(誤嚥による肺炎や摂食障害)で亡くなる人は増加傾向にあります。

認知症を発症する原因はさまざまですが、食事習慣との関連性に着目した研究は数多く報告されています。とりわけ、イタリアやギリシャなど地中海沿岸の国々で食されている地中海食は認知機能の維持に有益である可能性が示されていました。

地中海食は、オリーブ油を豊富に用いることが特徴です。そのため、オリーブ油の摂取は認知機能に良い影響を与える可能性があります。そのような中、オリーブ油の摂取と認知症に関連した死亡リスクを検討した研究論文が、米国医師会のオープンアクセスジャーナルに掲載されました。

この研究では、米国の医師および看護師9万2383人(平均56.4歳、女性65.6%)が対象となりました。研究参加者を、オリーブ油の摂取量が「月に1回以下」「1日に0グラム超~4.5グラム以下」「1日に4.5グラム超~7グラム以下」「1日に7グラム超」の4つの集団に分類し、認知症に関連した死亡リスクを比較しています。

28年間にわたる追跡調査の結果、オリーブ油の摂取量が「月に1回以下」の人と比べて、「1日7グラム超」の人では、認知症に関連した死亡リスクが28%、統計学的にも有意に低下することが示されました。また、1日に5グラムのマヨネーズ、およびマーガリンを同量のオリーブ油に切り替えると、認知症に関連した死亡リスクが14%、および8%、統計学的にも有意に低下する可能性も示されました。

論文著者らは「マヨネーズやマーガリンの代わりにオリーブ油を摂取することで、認知症を患うことなく長寿を達成できる可能性が高まる」と結論しています。

(青島周一/勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰)

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