なぜここに小田急の車両が 西武鉄道が導入「サステナ車両」として所沢に到着 地元住民の注目も集める はるばる静岡経由でやって来た 省エネ推進、今年度中に営業運転開始

小手指車両基地に止まる小田急8000形(右)=(西武鉄道提供)

 東京と神奈川の箱根・江の島方面を結ぶ小田急電鉄の車両が埼玉にやってきた。西武鉄道が「サステナ車両」として譲渡を受けた「小田急8000形」の第1編成(6両)が、20日に埼玉県所沢市の小手指車両基地に到着。クリーム色に青色帯の見慣れぬ車両が、地元住民や鉄道ファンの注目を集めている。整備を進め、今年度中に西武国分寺線で営業運転を開始する予定。

 西武鉄道広報部によると、今回到着した8000形は小田急線内を出発して、JR御殿場線経由で静岡県のJR沼津駅で折り返し、JR東海道、武蔵野線などを経てJR新秋津駅経由で西武鉄道に輸送された。24日、地元住民や鉄道ファンが敷地の外から8000形にカメラを向けていた。市内在住の40代男性は「小田急の車両が所沢にいるのは違和感。どんな塗装で走るのか楽しみ」と目を輝かせていた。

 サステナ車両は西武鉄道が他社から譲受する省エネルギーで走る車両の独自呼称。環境負荷の少ない制御装置「VVVFインバータ」を搭載し、従来より運行時の使用電力を半分に抑えることができるという。8000形は小田急が1982年に導入した通勤車両。西武鉄道は「東急電鉄9000系」を含めて計約100両を2029年度までに授受する協定を結んでおり、今回はその第1弾。

 小田急8000形は国分寺線に導入。東急9000系は多摩川、多摩湖、西武秩父、狭山線に導入予定。

 同社は30年度までに新造車両導入とサステナ車両の譲受を進め、車両のVVVF化100%を目指す。サステナ車両100両を導入することで、二酸化炭素(CO2)の削減量は年間約5700トンになる見込み。

西武鉄道の車両と並ぶ今回輸送されてきた小田急8000形(右端)=24日、所沢市

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