【女医のお部屋】ファンコニー症候群って何? 紅麹サプリ問題で話題

さまざまな働きをする腎臓。尿細管に異常が起こるのがファンコニー症候群

ファンコニー症候群が紅麹に関するサプリメントの影響で話題になった。腎臓に関係のある病気だというが、いったいどのような病気なのだろうか。内科医で腎臓内科での勤務経験もある古市ゆり先生に教えてもらおう。

――腎臓とはどういう働きをする臓器ですか

古市医師(以下、古市)大きく分けて6つの働きをしています。1つ目は、尿を作る。2つ目は、血液を作る。3つ目は血圧の調整をするホルモンを分泌する。4つ目は、ビタミンDの活性化をする。5つ目は、骨代謝に関わるミネラルの調節をする。6つ目は、体を弱アルカリ性に保つために、酸性・アルカリ性のバランスを保つ働きです。

――尿を作る臓器のイメージでしたが、体にとっていろいろな働きをしているんですね

古市 中でもやはり尿を作るというのは、老廃物を排出するという意味でとても大事な働きですね。尿を作る際、いったんろ過して再吸収するという流れがあります。ろ過をして、尿としてたくさん排出されたままだと体に足りないものが出てきてしまうため、尿細管で必要なものを再吸収します。この尿細管という部分に異常が起きることが、話題になっていたファンコニー症候群です。

――異常が起こるとどうなるのでしょう

古市 体にとって大事なミネラルや栄養素が尿として過剰に排泄され、体内で不足してしまいます。例えば、重炭酸塩が不足すると、体が酸性に傾きます。すると、吐き気や嘔吐、食欲不振や、脱力感などが起こります。ほかにも、ミネラルバランスが乱れることで、脱力や痺れなどが出ることもあります。

――原因はどういうものが考えられますか

古市 1つは原発性といい、多くは遺伝的に腎臓そのものに原因があるケースです。2つ目は、二次性といわれるもので、他に原因があって引き起こされるケースです。例えば、血液がんや自己免疫疾患といった病気や、薬やサプリメントの影響、重金属など工業物質が体の中に入ってしまうことなどが挙げられます。

――ファンコニー症候群の治療法は

古市 原因ごとに治療法は変わります。原因となる病気がはっきりしているのならば、その病気の治療を行うことが、尿細管の回復にもつながります。ほか、薬やサプリメントが原因であるならば、服用をやめることで、改善が見込めます。ほかには、ミネラルが不足しているならばミネラルの補充など、足りない物を補充するという、対症療法も行われます。

© 株式会社東京スポーツ新聞社