ハンドボール・土井レミイ杏利「笑顔で終われてよかった」 26年の競技生活に幕、今後は「財産を伝えていかないと」【会見一問一答】

ラストマッチ後に「引退会見」したジークスター東京の土井レミイ杏利【写真:荻島弘一】

日本リーグPO第2ステージ、ジークスター東京は27-35でトヨタ車体に敗れる

ハンドボールの日本リーグプレーオフ男子第2ステージが25日、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザで開催され、レギュラーシーズン(RS)3位のジークスター東京は。初の決勝進出を目指して同2位のトヨタ車体と対戦。好ゲームを展開したものの終盤に突き放されて27-35で敗れた。今季限りの引退を発表していたジークスター東京の主将・土井レミイ杏利が試合後に会見。「笑顔で終われてよかった」と現役生活を振り返った。

8歳から26年の競技人生に幕が引かれた土井。最後の大会での日本一の夢は叶わなかった。この日、主将として臨んだ敗戦会見が引退会見に。TikTokのフォロワー700万人を誇る人気者がコートを去る。以下、一問一答。

――現役生活を終えた今の気持ちを聞かせください。

「26年間、常に100パーセントの気持ちで試合に臨んできました。今日も最後まで100パーセント、勝ちにこだわって試合ができた。何よりコートの上で選手生活を終えることができ、笑顔で終われてよかったです」

――引退を決めたタイミングと、その一番の理由は。

「実はシーズンの初めから最後にするつもりでいました。理由はたくさんあります。一つあげるならば、この先の人生の方が長いということ。(東京五輪後の)代表引退の時にも伝えさせていただいたセカンドキャリアを考えた時に、今が一番いいタイミングだと思ったのが理由です」

――26年間の競技人生を振り返って、最も思い出に残る試合や瞬間は。

「いろいろありすぎて、1つというのは難しいですね。ただ、日本代表で戦った世界選手権やアジア選手権は思い出になっています。もちろん、東京五輪も。代表から引退した時には、正直燃え尽きた感じもありました」

――チームを去るタイミングで、残る選手たちに伝えたいことは。

「日本一になるには、もっと貪欲になってもいいかなと。今年は代表と代表でない選手を組み合わせることとか、すごく難しいシーズンでした。なかなか安定した試合ができなかった。もっと勝つこと、優勝することへの貪欲さが毎試合見られれば、成績も安定するし、強いチームになると思います」

――今後の活動について教えてください。

「26年を通じて培ってきたもの、仲間との絆、海外で学んだ戦術、プロとしてのメンタリティー、僕にとっての財産です。これを自分だけでなく、いろいろな人に伝えていかないといけない。この先、ジークスターとどうかかわっていくか、協会とかリーグとか、何かしらの形で今後も貢献していければと思っています」

――今後、ハンドボール界が発展してくためには何が必要か。

「まずは選手、チーム、協会が、ハンドボールをメジャーにしようと覚悟を持つことが大切です。変えようと思っている人もいますが、まだまだ人任せ。個々の力は集団には及ばない。僕が一人頑張っても駄目です。同じ思いで行動する人が集まって組織が生まれること。その中で日本代表が結果を残すこと。代表をきっかけに興味を持って試合を見に来てくれるお客さんがいても、楽しめる準備ができていないと人気は続かない」

――日本のハンドボールが将来どうなればいいと思うか。

「ハンドボールに出会って生きる意味を与えられる人があふれたらいいなと思います。これまでも話してきたのですが、当たり前になってほしい。当たり前のようにテレビで流れ、当たり前のように推しの選手がいて、そんなハンドボールが当たり前のようにある状態になればいいなと思います。ハンドボールに関わるみなさん、一致団結して、そろそろ覚悟を決めましょう、ということは伝えていきたいと思います」

THE ANSWER編集部

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