冨岡義勇の過去に迫った『柱稽古編』第二話…久々登場キャラにファンもニヤリ

『鬼滅の刃 柱稽古編』(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

アニメ『鬼滅の刃 柱稽古編』第二話「水柱・冨岡義勇の痛み」が5月19日に放送された。

太陽の光を克服した禰豆子を狙う鬼舞辻󠄀無惨との戦いに備え、鬼殺隊士が柱による過酷な稽古を受け訓練するというのが主な内容となる「柱稽古編」。また、一般隊士たちと炭治郎との交流や、これまで描かれてこなかった柱メンバーそれぞれのパーソナルな部分も描かれる。

「柱稽古編」は原作漫画での15巻から16巻にかけての全9話でのエピソードで、アニメで1クールにするにはやや短尺なため、アニメオリジナル展開も多く描かれるのではないかと、放送前からファンの間で期待が高まっていた。

この日放送された第二話は水柱・冨岡義勇の過去を重点的に描くものだったが、ファンの期待通り、漫画では描かれていなかった部分の掘り下げも多かった。

■第二話で描かれた神崎アオイの気遣い

まず印象的だったのが、胡蝶しのぶの住む蝶屋敷で隊士たちの治療や機能回復訓練に従事している一般隊士・神崎アオイと炭治郎との会話シーンだ。重症のため、稽古への復帰許可が出るまでの7日間の間に義勇に会いに行こうとする炭治郎。

その前に、炭治郎は縁側でアオイに「もし一人ぼっちの人がいたといて、その人に一人ぼっちじゃないってどう伝えたらわかってもらえると思いますか?」と問う。アオイの答えは「私ならそっとしておいてほしいです」というものだった。しかし、この答えは少々天然な炭治郎にはなかなか理解できなかったようす。

その後、アオイは炭治郎が会いに行くという人のために、2人分のおにぎりを握って炭治郎を送り出した。誰に会うのかというのは聞かず、何人に会うのかということだけを聞いて人数分のおにぎりを用意する彼女の配慮には、人間力の高さを感じさせる。

原作では意外な結末を迎えた彼女だが、振り返ってみると本編での活躍シーンはかなり少ないため、アニメオリジナルシーンで性格が掘り下げられることで今後の人間関係への説得力が増す。スピード感たっぷりに物語が進む『鬼滅の刃』では特に、久しぶりに登場する隊士たちの近況を描くこうしたオリジナルシーンは重要なものとなるだろう。

また、炭治郎の天然っぷりはアニメオリジナルシーンでさらに色濃く描かれた。義勇と会話するため、炭治郎はなかなか自分の話をしようとしない義勇の元に足繁く通う。

原作ではトイレの前で待ち伏せする炭治郎の姿が描かれ、4日後に義勇が根負けしたという表現に留められたが、アニメでは夜まで道場で義勇を待ち伏せしながら眠る炭治郎の姿や、朝から義勇を迎えに行く炭治郎(義勇の目にはクマができていた)、あまりに近すぎる距離に座って一緒に食事を摂る炭治郎、風呂を覗く炭治郎など、彼の「ヤバイ人」ぶりが炸裂していた。これにはさすがの義勇もお手上げだろう。

■原作読者がニヤリとするアニメでの細かな描写

そして、ようやく語られる義勇の過去。最終選別で錆兎によって命を助けられ生き残ることができたが、その年の選別では錆兎だけが亡くなってしまったという悲痛な現実が語られる。義勇は一体の鬼も倒すことがなかったのに、生き残ったという事実だけで選別に合格してしまったことにいまだに後ろめたさを抱えていた。

回想にて、このとき鬼によって傷を負った義勇を介抱したのが、のちに義勇と同期だったことが判明する一般隊士・村田だ。原作では小さなコマで描かれているが、アニメではその顔がバッチリ描かれていた。原作を知っている人にはニヤリとする展開だ。

アニメは最後のCパートまで見逃せない。作中の小ネタが語られる「大正コソコソ噂話」では、義勇の羽織が姉・蔦子と錆兎の形見だということが語られたが、その後義勇が、自身の好物である「鮭大根」を食べに行こうと炭治郎を誘うシーンがあった。炭治郎と一緒にそばの早食いをしたことや、作中の炭治郎の義勇への言葉で2人の心の距離も縮まったのだろう。ほほえましい会話だった。

第二話では話の構成を少し前後させたことで内容がわかりやすく演出されており、さらに錆兎の回想をより詳しく描いたことで、彼の株はさらに上昇したようだ。ファンからも「今回のように、原作ではなかった掘り下げをもっとしてほしい」という声がSNSにあふれている。

次回第三話「炭治郎全快‼ 柱稽古大参加」では、怪我が回復した炭治郎がついに柱稽古に参加する。原作でもコミカルなシーンが多い内容だけに、柱とのコミュニケーションや、今まで「大正コソコソ噂話」で語られるに留まっていた設定がどこまで本編に食い込んでくるかなど、注目だ。

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