ショートケーキとフレジェは何が違うの?【パティシエが教える、奥が深いお菓子の世界Vol.1】

マドレーヌとフィナンシェはどう違う?ビスケットとクッキーの違いは?など、スイーツの世界はよくよく考えてみるとわからないことがいっぱいです。

そんな素朴な疑問を現役の人気パティシエ、大澤智弥氏に教えてもらう連載です。
第一回は日本ではおなじみのショートケーキと、見た目がそっくりなフレジェ。これはどう違うのでしょうか?

実はショートケーキは日本オリジナル!

「ショートケーキとフレジェの違いは発祥した国がそもそも違うんです」と大澤シェフ。

「『ケーキと言えばショートケーキ』というくらい日本ではお馴染みのケーキですが、スポンジ生地にイチゴと生クリームを使った生菓子で、実はこれ、日本のオリジナルと言ってもいいくらい日本でどんどん進化したものです。一方のフレジェはフランス発祥の生菓子なんです」

フレジェはフランス版ショートケーキ!?

「フレジェは、スポンジとは違って、ビスキュイと呼ばれるアーモンドが練り込まれた少し堅めの生地でできています。クリームは、各お店によって異なりますが、主に濃厚でバタークリームのようなちょっと重めのムースリーヌが使われていて、そこにイチゴがデコレーションされています」

日本では、1年を通していつでも味わうことができるショートケーキですが、フランスでは、フレジェはイチゴのシーズンのみに味わえるケーキで、フランスの春を告げるお菓子としても有名だそう。

「フレジェはフランス版のショートケーキと思われかもしれませんが、歴史はフレジェのほうが古く、昔から変わらぬスタイルで今でもフランスや世界で人気のある生菓子なんです。

日本のショートケーキは日本人の味の嗜好に合わせて、独自の進化を遂げてきたケーキと言えるかもしれません。フレジェがベースになっているという説もあります」

日本のショートケーキは大正生まれ!?

ショートケーキの発祥には諸説あって、日本で初めてショートケーキが誕生したのは1920年代。大正時代のこと。

ペコちゃんでお馴染みの不二家の創業者・藤井林右衛門氏がアメリカで見たケーキを日本風にアレンジを加えて販売したという説と、ほぼ時を同じく渡仏中だったコロンバンの創始者・門倉国輝氏がフランスでみた生菓子を日本人に親しめるケーキとして発案したという説があります。

このときに二人が見たものがフレジェなのかどうかは、検索しても正確なところはわかっていません。

いずれにしても、以来、ショートケーキは日本で進化に進化を重ねて今にいたっています。

ショートケーキはパティスリーの「顔」

今ではショートケーキがないパティスリーがないと言っていいくらい、日本では一番、馴染みのあるスイーツです。だからこそ、ショートケーキはそれぞれのパティスリーの『顔』になっていると言っても過言ではありません。

「数々のパティスリーの個性豊かなショートケーキが楽しめることはもちろんですが、本場のフレジェと食べ比べるのもオススメです」

教えてくれたのは……

パティシエ:大澤智弥さん(プロフィール)

専門学校を卒業後、ビゴ東京に入社。その後「レストラン シェ・イノ」、「ホテル雅叙園東京」、「アングラン」など経て、「こむぎのおいしいおかし」ほか、ガレットデロワ専門店「Galet Galet(ガレ ガレ)」のシェフとして活躍している。ufu専属パティシエ。

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