話題の「10元コーヒーおばさん」に見るインスタントコーヒーの立ち位置―中国

江蘇省南京市で1杯10元のコーヒーを売る「10元コーヒーおばさん」が大きな話題となっている。

江蘇省南京市で1杯10元(約200円)のコーヒーを売る「10元コーヒーおばさん」が最近、ショート動画プラットフォームで大きな話題となっている。「南京版の阿嬷手作(人気ミルクティーショップ)だ」という声の後押しもあり、大勢のネットユーザーが押し寄せ、1日に400~500杯のコーヒーが売れるほどの人気ぶりで、お湯が足りなくなることさえあるのだという。

ただ話題の「おばさんのドリップコーヒー」というのは、実はカフェスティック3本をプラスチックのコップに入れて混ぜただけのインスタントコーヒーだ。

「10元コーヒーおばさん」が話題になっているのは、インスタントコーヒーがあまり売れないからなのだろうか?

実際には、中国で最も早い時期に登場したコーヒーはインスタントコーヒーで、国際市場調査会社・ユーロモニターの統計によると、13年にそのシェア率は97.6%と一時は中国市場をほぼ「独占」していた。

しかし、中国のコーヒー市場が発展するにつれて、インスタントコーヒーは少しずつ「安物扱い」されるようになっていった。

あるサラリーマンは「粉末のインスタントコーヒーにはクリームパウダーが入っているので、ヘルシーとは言えない。それに値段は安いが、カフェイン量も少ないので、頭をスッキリさせるには十分じゃない」と話す。

また、中国の消費者が選ぶことのできるコーヒーの種類も増えた。コーヒーショップの瑞幸(ラッキンコーヒー)や庫迪(コッティコーヒー)などでは1杯9.9元という安さでドリップコーヒーを飲むことができるほか、街のあちこちに店があり、さらにスマホのアプリで注文して届けてもらうことまでできて、とても便利だ。そしてサントリーや農夫山泉、娃哈哈といった飲料メーカーもペットボトルコーヒーを打ち出し、インスタントコーヒーと商品棚の位置争いを繰り広げている。

中国食品産業のアナリスト・朱丹蓬(ジュウ・ダンフォン)氏は、「インスタントコーヒーはコーヒーの中でも『入門編』に属する。中国のコーヒー市場は30年以上の発展を経て、コーヒーの消費者のこだわり度も高まり続けている。インスタントコーヒーのシェア率が下降していることは、中国のコーヒー消費市場の産業構造がレベルアップしていることを示している」との見方を示す。

そして、「中国のコーヒー市場が成長の一途をたどったとしても、『入門編』のインスタントコーヒーにも依然として、それなりの応用シーンがある。今後、インスタントコーヒーが発展するためには、品質の向上やシーンの拡大が必要だ。サービス体系を整備し、客のスティッキネスを強化しなければ、新たな成長ポイントを見つけることはできない」と指摘している。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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