BL東京が14季ぶり復活V! リーチは嬉しい初優勝「本当にハラハラ」 引退の埼玉・堀江翔太は有終の美飾れず【ラグビー・リーグワン】

リーグワンプレーオフ決勝、優勝した東京のリーチ・マイケル(左)と埼玉の堀江翔太【写真:矢口亨】

リーグワンプレーオフ決勝

ラグビー・リーグワンプレーオフ決勝が26日、東京・国立競技場で行われ、レギュラーシーズン2位の東芝ブレイブルーパス東京(BL東京)は同1位・埼玉パナソニックワイルドナイツ(埼玉)に24-20で勝利。14季ぶり6度目の優勝を手にした。埼玉は2季ぶり7度目の優勝はならず。今季限りで現役引退する元日本代表HOの38歳・堀江翔太、32歳のSH内田啓介は途中出場したが、有終の美を飾れなかった。

昨季決勝の4万1794人を上回るリーグ史上最多の5万6486人が集結。試合前のメンバー紹介で堀江の名前を呼ばれると、一番の歓声が上がった。試合は埼玉が前半5分と20分、SO松田力也のペナルティーゴール(PG)で6-0とした。しかし、リーチ・マイケル率いるBL東京は同27分、敵陣残り5メートルのスクラムから右に展開し、WTBジョネ・ナイカブラが3人を引きずりながらトライ。ニュージーランド代表の世界No.1SOリッチー・モウンガのゴール(G)で逆転した。

同35分にもモウンガのPGで10-6とし、BL東京リードで後半に突入。スクラムで優位を取れなかった埼玉だが、後半から堀江が登場した。しかし、後半5分にトライとゴールを許し、6-17の苦しい展開。堀江は敵陣残り5メートルの攻防から自らボールをもらい、相手防御に何度も突っ込んだ。すると同23分、FLベン・ガンターが反撃トライ。松田がGを決めて13-17とした。

同28分にも裏を狙ったキックパスで相手防御を崩すと、こぼれ球を拾ったSH小山大輝が逆転トライ。松田のGで20-17とした。だが、同34分に再度逆転のトライとGを許して20-24。それでも試合は終わらない。同39分、敵陣で連続攻撃を仕掛け、長田智希がトライ。25-24と土壇場で逆転したかに思われたが、直前に堀江のボールを前に投げるスローフォワードの反則があり、TMO(ビデオ判定)の末に痛恨のトライ取り消しになった。

試合はそのまま終了。BL東京が激闘を制した。リーチにとっては嬉しい自身初優勝になった。勝利後の場内インタビューでは「本当にハラハラした試合。勝てて嬉しいです。さすがのチームでした。相手は最後まで戦い続けるチームでどこからでもトライを獲ってくる。運がよく勝てた」と振り返った。

堀江は小学5年でラグビーを始め、大阪・島本高、帝京大でプレー。2009年に初キャップを獲得した日本代表では、11年からワールドカップ(W杯)に4大会連続出場した。スクラムの最前線で体を張り、相手が恐れる強さや高い技術、存在感からついた異名は「ラスボス」。トレードマークのドレッドヘアー、懐の深い人格でチームにも、ファンにも愛される存在だった。

昨季、埼玉は決勝で東京ベイに敗れたが、今季はリーグ最多得点&最少失点を誇り、16戦全勝で首位を独走した。3季連続で決勝に進出。BL東京とは3月9日に対戦し、36-24で勝利していた。BL東京は前身のトップリーグを含め、14季ぶり6度目の優勝を目指したシーズン。主将のリーチは自身のキャリア初となる日本一が懸かり、日本代表でW杯4大会をともに戦った堀江にぶつかる覚悟だった。

堀江は埼玉のロビー・ディーンズHCが指揮を執るバーバリアンズとして、6月22日のフィジー戦(英トゥイッケナム)にも招集予定。現役最終戦の見込みとなっている。

■堀江翔太(ほりえ・しょうた)

1986年1月21日、大阪府生まれ。大阪・島本高から帝京大に進学。08年に三洋電機(現埼玉)入り。13年からスーパーラグビーのレベルズ、16年からサンウルブズでもプレー。09年に初キャップを獲得した日本代表では11年からW杯4大会出場。15年イングランド大会では南アフリカ戦に先発し、“ブライトンの奇跡”と呼ばれた歴史的勝利に貢献。19年日本大会は全5試合に出場し、史上初のベスト8進出を支えた。昨年フランス大会はチーム最年長で4試合中3試合に先発。歴代6位の代表通算76キャップ。力強いスクラム、高い技術や存在感から異名は「ラスボス」

THE ANSWER編集部

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