シャーシャー猫と仲良くなれる?「家庭内野良猫」との接し方

「飼い主にもなれない」「警戒心が強く、触ることも難しい」などが特徴の「家庭内野良猫(家庭内別居猫)」。

家庭内野良猫との接し方や、病院へ連れて行くときのコツなどについて、ねこのきもち獣医師相談室の岡本りさ先生が解説します。

家庭内野良猫(家庭内別居猫)になりやすい猫の特徴

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――飼い猫ではあるものの人になれていない、飼い主でも触ることが難しいといった特徴をもつ猫のことを「家庭内野良猫(家庭内別居猫)」と呼ぶようですが、家庭内野良猫になりやすい猫の特徴を教えてください。

岡本先生:
「家庭内野良猫になりやすい猫の傾向としては、人を介して何か怖い思いをした経験があるコや、成猫になるまで人との接触がなかったコなどが挙げられます」

何も対処しないとどうなる?

――家庭内野良猫である愛猫に対して、何も対処せずそのままにしておくとどうなりますか?

岡本先生:
「家庭内野良猫の状態をそのままにしておくと、定期的な健康診断が難しくなることや、愛猫の体調に変化があっても飼い主さんが気づきにくいなどの問題が起こる可能性があります」

焦りは禁物!家庭内野良猫との上手な接し方

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――もしも、お迎えした猫が懐いてくれずに家庭内野良猫になってしまったら、どのように対応すればよいでしょうか?

岡本先生:
「まずは、人のいる環境になれてもらうところから始めましょう。焦ってコミュニケーションをとろうとすることはNGです。愛猫がなれるまでは、無理をして警戒心を強めないように気をつけてくださいね」

――家庭内野良猫との接し方のコツについても教えてください。

岡本先生:
「無理に距離を縮めることはせず、距離のとれる長めの紐の猫じゃらしや、猫用のポインターなどでコミュニケーションをとってみるとよいでしょう。触れなくても近づける場合には、手からおやつを与えてコミュニケーションをとるなど工夫してみてください」

家庭内野良猫を病院に連れて行くときのコツ

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――家庭内野良猫を病院などに連れて行かなければならないとき、上手に捕まえる方法はありますか?

岡本先生:
「猫の生活動線に、ふだんから扉を開けた状態のクレートを置いておくといいかと思います。狭くて囲われた空間は、猫が安心してくつろげます。そんな条件のそろったクレートを生活動線の範囲に設置しておくと、自然と入ってくれるようになるでしょう。日頃からクレートにならしておくと、扉を閉めればそのまま病院に連れて行くことができますので、捕まえるストレスや移動中のストレスを減らすことが可能です。

また、急遽通院が必要な際は、大きめのタオルを全身に被せると捕まえやすいです。タオルで覆ったままクレートに入れたり、できれば洗濯ネットに入れたりして受診するといいかと思います」

「どうしてもなれてくれない」ときの考え方と接し方

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――何年もかけて手を尽くしても、どうしても人になれてくれない家庭内野良猫に対しては、どのように接すればよいのでしょうか?

岡本先生:
「『そういう性格の猫なのだ』と受け入れることが必要なケースもあるかと思います。“少し距離のある同居人”として接するといいかと思います」

接し方に少々コツが必要な家庭内野良猫(家庭内別居猫)。愛猫の健やかな生活のためにも、岡本先生のアドバイスを参考にぜひコミュニケーションを図ってみてくださいね。

(監修:ねこのきもち獣医師相談室 獣医師・岡本りさ先生)
取材・文/藤真もとみ
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。

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