JR西日本、みどりの窓口の営業時間短縮を発表  鉄道ファンの漫画家・松山せいじはどうみた?

■みどりの窓口の営業時間短縮

JR各社の駅から「みどりの窓口」が続々と減らされている。ゴールデンウィークはその削減の影響で主要駅のみどりの窓口が大混雑だったようで、駅では怒号も飛び交ったと言われる。コロナが5類化されて1年が経過し、自粛ムードは完全になくなり、インバウンドの増加も影響して窓口の混雑が常態化。列車に乗りたいのに切符が買えない、そんな事態があちこちで起こっているのだ。

JR東日本では、みどりの窓口の急激な減少で利用者から不満が高まっているとして、209駅まで減らしていた窓口の削減をいったん取りやめ、現状維持にすると発表した。みどりの窓口のニーズがある背景には、鉄道の利用者の間でデジタル化が思ったように進んでおらず、指定席券売機などで購入できない切符も少なくないためと考えられる。

しかし、それでもJR各社はコストカットに躍起になっている。JR西日本は、6月1日から、「みどりの券売機プラス」でオペレーターが対応する時間を短くするという。5時30分~23時だったものが、8時~20時へと、大幅な縮小になる。「みどりの券売機プラス」は、オペレーターと会話をしながら切符を購入できる券売機で、みどりの窓口と指定席券売機を足して2で割ったような機能をもつ機械である。

JR東日本の「話せる指定席券売機」に相当するものだが、JR西日本は京都駅を筆頭にインバウンドの需要が極めて高い。そのため、この券売機を前に外国人が戸惑い、長時間占有しているケースがよく見られる。外国人も旅行先で慣れない機械を操作する羽目になっているのだから、気の毒である。

■鉄道ファンの漫画家は今回の削減をどう見る?
©松山せいじ/小学館 サンデーGXコミックス ©松山せいじ/秋田書店 チャンピオンREDコミックス

みどりの窓口が削減されている現状を、鉄道ファンはどのように見ているのだろうか。『ゆりてつ 私立百合ヶ咲女子高鉄道部』『ギャル鉄』などの鉄道を題材にした漫画を数多く執筆し、無類の鉄道ファンとしても知られる漫画家の松山せいじはこう話す。

「私は普段、特急券を買う際にJR東日本の『えきねっと』などのアプリをよく使うのですが、すべての切符がアプリに対応しているわけではありません。ネットで全部できるようになるなら窓口を削減しても構わないと思いますが……ちゃんと先に、代替手段を用意してから、廃止してほしいですね」

また、「話せる指定席券売機」にせよ、「みどりの券売機プラス」にせよ、大人の休日倶楽部などの割引を使う際には、手帳を確認するなどの作業が生じる。障がい者に対するバリアフリーの観点からも、問題が多いと松山は指摘する。

「障がい者の方が、障がい者手帳の割引を使う際、窓口や券売機ではオペレーターとの手帳の確認が必要なのですが、これが結構大変なんですよ。営業時間が短縮されてしまうと、早朝や深夜などの緊急の時間帯に切符の手配をする際、不便になりそうです」

JR各社は民営化されたとはいえ、鉄道は公共交通機関である。少子化や経済の停滞など厳しい状況が続いている中ではあるが、利用者が使いやすい鉄道にしていくことが求められている。

(文=竹下浩二)

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