サンリオキャラ大賞5連覇も目前?「シナモロール」の知られざる設定と別世界線とは

(C)’24 SANRIO 著作 株式会社サンリオ

毎年サンリオキャラクターの中から精鋭のキャラがエントリーし、ウェブやサンリオショップなどでの投票により順位が決定される、今回で39回目となる「サンリオキャラクター大賞」。4月11日より開始となった投票期間が5月26日で終了となる。

6月16日に東京ビッグサイトで行われる「SANRIO FES2024」での結果発表を前に、5月9日には4月11日から5月6日までのウェブ投票と、4月30日までのサンリオショップでの投票を集計した中間の順位が発表された。1位となったのは、2002年(初めてグッズが発売された年)に誕生した「シナモロール」。2020年から毎年1位を獲得しており、自身初となる5連覇が目前に迫っている。

一見するとかわいらしい癒し系キャラのシナモロール。しかし意外と知られていない設定も多い。今回は、「人気だけど実は知られていない」シナモロールの素顔に迫りたい。

■誕生すぐに大人気になったシナモロール

まず、「シナモロール」はシリーズキャラクターの総称であり、みんなが知っている耳が長くて白いキャラクターの名前は「シナモン」である。

また、上記の特徴からウサギをモチーフにしたキャラに思われがちだが、子犬のキャラであることが明かされている(よって、2020年・2021年のキャラクター大賞では、シナモロール、ポムポムプリン、ポチャッコと犬のキャラがトップ3を占めていたことになる)。

シナモンは遠い空の雲の上で生まれ、ある日、空からフワフワ飛んできたところを、「カフェ・シナモン」というカフェのお姉さんに見つけられ、そのままいっしょに住み店の看板犬になった。「シナモン」という名前の由来は、シッポがシナモンロールのようにくるくる巻いているため、お姉さんが名付けた。

シナモンは単純に犬というわけではなく、空のお母さんと太陽のお父さんから生まれた「ふわもこ雲族」の子犬だ。このことは公式Xで明かされている。

そんなシナモンの特技は、耳をパタパタさせて空を飛ぶこと。しかし、これは雲の兄弟みんな空が飛べるのに自分だけ飛べないことにコンプレックスを覚え、練習したのだという。意外とファンタジーな設定に驚く人は多いだろう。

2002年誕生し、すぐに人気が出たシナモロール。同じ年にはチビマルやパンダップルらがいるが、どれもあまり知名度のないキャラばかり。だから、よけいにシナモロールが目立ったのかもしれない。

シナモロールは、2003年には早くもキャラクター大賞で3位に輝いた。その人気も相まって、2005年には派生した「シナモエンジェルス」というキャラが誕生している。

メンバーは、シナモンのフレンズでもあるモカ、シフォン、アズキのオシャレ大好き3人組。また2007年には「ルロロマニック」というシナモンのようなキャラが小悪魔バージョンとなったベリーとチェリーというキャラクターが誕生した。

ルロロマニックはシナモロールのスペルを逆さ書きしたものであり、「逆さまの世界」を表現している、サンリオでは珍しい悪役キャラクターだ。2023年のキャラクター大賞の結果は28位となっている。

■別基軸“ご自愛系”シナモロールも誕生

さて、現在シナモロールには、別世界線の「アイシナモロール」というブランドが2023年に誕生している。シナモンがお姉さんと出会ったあの日に、お姉さんに拾われなかったらというパラレルワールドの設定で、これが急速に人気を高めている。

驚くべきは、シナモンの顔つきが全く違うところ。公式サイトでは「いろいろあったのちに自立したシナモン」「人の目より、自分の目。ほんとうに大切なことだけを大事にしています。みんなに羨ましがられるキラキラした毎日じゃなくても、お昼寝したり、遊んだり、試行錯誤したり…。『ちゃんとしなきゃ』と思っていたけど、ちょっと肩の力が抜けているくらいがちょうどいいのかも?」と紹介されている。他人より自分の事を大切にしている「ご自愛系」キャラクターだ。

2人の違いは設定にも表れており、好物は本家シナモンが「カフェ・シナモン」名物のシナモンロールなのに対し、「アイシナモロール」のシナモンは自分で淹れたドリップコーヒー。特技は本家シナモンが大きな耳をパタパタさせて空を飛ぶことに対し、「アイシナモロール」のシナモンは地に足をつけてしっかり歩くこと。なんとも現代に即したキャラである。

「アイシナモロール」シナモンの決めセリフは、「(自分のこと、もっと)あいしな?」。「アイ」は、「わたしを意味する“I”」と「愛情の“愛”」という2つの意味が由来となっているようだ。

全く違うシナモンの姿に、環境はこうも人格を変えてしまうのかと感慨深い。なんとも奥が深いシナモロールの世界。知れば今年も1位を獲れるように応援したくなってしまうかも?

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