セインツがスーパードームの改修費を支払い、州当局との膠着状態を解消

ニューオーリンズ・セインツの本拠地【NFL】

ニューオーリンズ・セインツは現地24日(金)、本拠地であるシーザーズ・スーパードームの改修費用として1,140万ドル(約17億8,928万円)を支払い、次のスーパーボウルが開催されるスタジアムの管理をめぐる州当局との対立を解消した。

セインツと『Louisiana Stadium and Exposition District(LSED/ルイジアナ・スタジアム・アンド・エキスポジション・ディストリクト)』による支払いの発表は、セインツの社長のデニス・ラウシャがチームの公式サイトで、スーパードームを管理する州委員会が「不誠実でプロ意識に欠ける」というコメントを掲載した数時間後に行われた。

また、ラウシャは昨年12月からセインツが支払いを保留していた理由が、スーパードームの長期リース契約に関する交渉における州の対応に対する不満から来ていることを認めている。

ラウシャはこう続けた。「LSED側には、長期リース交渉に実質的な進展がなければ支払いを停止すると通告していた。先週末になっても十分な進展が見られなかったため、セインツ側は再度、リース契約に関する大きな進展がない限り支払いは行わないと伝えた」

しかし、金曜日の午後遅くになって、当局はラウシャとLSEDの理事長のロブ・ボスバインが“「実りのある電話」をした後に支払いが行われたと発表している。

水曜日に実施されたLSED理事会で、セインツが今夏に完了する予定のスーパードーム改修工事費の支払いを滞納していることがスタッフから報告されたことで、今回の問題が公になった。

セインツはその日のうちに声明を発表し、分担金を支払う用意はあるが、その時点では具体的に明示されていなかった“文書”を受け取るまでは支払わないと表明。これに対してLSED関係者は、セインツが改修に関する請求書に異議を申し立てることは一度もなかったため、どのような書類を必要としているのか「分からない」と答えた。

ラウシャは「LSEDがわれわれが何を求めているのか分からないという声明を出すのは、非常に不誠実でプロ意識に欠ける」とコメント。

その一方で、LSEDは声明でリース交渉について言及し、次のように主張した。

「それはまったく別の独立した契約であり、“スーパードーム改修プロジェクト開発契約”に基づく支払いを、長期延長交渉のために保留する法的根拠はない」

問題になっている金額は、2019年に正式に承認された当初の4億5,000万ドル(約706億2,975万円)の計画から膨らんだ、約5億5,000万ドル(約863億2,525万円)の改修プロジェクト全体から見れば小さいものだ。しかし、セインツの支払いがこれ以上遅れていれば、資金繰りに影響を及ぼし、LSEDが残りの工事を完了できなくなる可能性があった。セインツとの話し合いがまとまるまでの応急措置として、ルイジアナ州が追加資金源を見つけられれば話は別だが。

ラウシャはルイジアナ州知事のジェフ・ランドリーが木曜日の夜にセインツのオーナーであるゲイル・ベンソンに電話をかけて「素晴らしい会話をした」と明かした。

ラウシャは「その電話の後、LSEDの弁護士から行き詰まりを解決するために会いたいと連絡があり、われわれはそれを歓迎した」と語っている。

ラウシャによると、セインツはLSEDと、州がドームの管理を委託している『ASM Global(ASMグローバル)』から、「現在のリース契約でチームに与えられている権利のいくつかを見直す話し合いをしたい」と告げられたことで、リース交渉の方針に懸念を抱いたという。

ラウシャは州の交渉担当者がどの“権利”を対象としていたのかは明言せずにこう述べた。「これはまったく合意に反するものであり、これらの権利がパートナーシップを計画通りに機能させるためにいかに重要であったかを考えると、控えめに言ってもショッキングなことだった。その脅威を受けて、われわれはASMとLSEDに対して、われわれの権利を守るという約束に応じるまで建設費の支払いを保留せざるを得ないと伝えた」

現在、セインツは命名権契約や広告スペースなど、ドームから発生する収入源に関するさまざまな権利を保有している。

LSEDは金曜日にこの件に関するこれ以上のコメントを控え、以前の声明を堅持すると広報担当のマイク・ホスは述べた。

ほとんどの改修工事は完了している。約5,800万ドル(約91億0,339万円)分の工事が残っており、その金額のうち、セインツは約4,100万ドル(約64億3,515万円)を負担。セインツの声明によると、チームはスーパードームの改修に約2億ドル(約313億9,100万円)の投入をすでに確約しているという。

このプロジェクトには、スタジアムのエントランス、コンコース、キッチンの改修、および新しいエスカレーターの設置が含まれている。また、古いスロープは新しい階段とエレベーターに置き換えられた。その多くは昨シーズンよりも前に完了している。

残りの工事は2024年のNFLシーズン開幕までに完了する見込みであり、それは50年近い歴史を持つこのスタジアムが2025年2月9日(日)にスーパーボウルの会場となる約6カ月前となっている。


記事提供:『The Associated Press(AP通信)』


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