結婚に「恋愛」って必要ですか? 36歳で「年収320万円」、経済的に不安なので「パートナー」が欲しいです。2人暮らしのほうが生活費も抑えられますよね…?

老後の平均収支は結婚している場合の方が不足額は大きい

まずは老後の平均的な収支を独身・結婚それぞれ見ていきましょう。総務省の「家計調査報告〔家計収支編〕 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯の家計収支は月額で3万768円の赤字、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では3万7916円の赤字です。

老後の貯蓄額は独身よりも2人以上世帯の方が多い

赤字額だけを見ると、「結婚した方が老後の生活は苦しいの?」と思う人もいるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。収支の赤字は貯蓄などで補填(ほてん)することになりますが、独身者と2人以上世帯では、貯蓄状況に大きな違いがあります。

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」によると、60歳代と70歳代の単身世帯と2人以上世帯における、金融資産保有額の平均額と中央値は図表1のとおりです。

図表1

金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査を基に作成

このように、貯蓄で見ると2人以上の世帯の方が、余裕はあるように感じられます。毎月の赤字額が単身よりも夫婦の方が大きいとはいえ、貯蓄状況を踏まえると必ずしも独身よりも結婚している方が経済的に厳しいと断言はできないでしょう。

独身のメリット

人によって幸せと感じるポイントは異なるため、独身と既婚はどちらの方が幸せなのかという答えはありません。とはいえ、主に経済的な面で見た際に、独身のメリットはなにがあるのでしょうか?

まず独身の場合のメリットですが、自分が稼いだお金を全て自分の裁量で使い道を決めることが可能です。友人と飲みに行っても、パチンコに使っても、貯蓄に回しても誰も文句は言いません。

また、結婚すると子どもを持つ家庭も多いですが、子どもには教育費やレジャー費、食費などいろいろな面でお金が必要です。その場合、子どもにかかる費用についてパートナーと相談することが多いでしょう。

元々は他人の2人ですので、子どもへの費用に関する考え方が違っていても不思議ではなく、意見がぶつかることもあるでしょうが、夫婦である以上は折衝していく必要があります。

独身で子どもがいなければ、配偶者とお金に関して相談したり、もめたりすることはないでしょう。

結婚のメリット

結婚することによる経済的なメリットもあります。例えば、結婚して2人暮らしになったからといって、家賃や光熱費が2倍になることは基本的にはありません。そのため、家賃や光熱費が高くなっても1人当たりの負担は小さくなります。

また、共働きの場合は収入が増えることはもちろんですが、なにかあった時の対応も独身とは異なります。例えば、自分が働けなくなった場合でも、パートナーの収入でやりくりができれば安心です。万一の時に備えて加入している保険についても、なにかあった際にパートナーの収入でやりくりができるなら、解約して毎月の支出を減らせる可能性もあります。

夫婦で貯蓄額の目標を立てるとお金を貯蓄しやすかったり、お互いに無駄遣いを減らせたりするといった効果も期待できます。

結婚に対して相手も恋愛よりパートナーを求めるのであれば必ずしも恋愛は必要ない

結婚をすると経済的なメリットも少なくありません。結婚に恋愛が必要かどうかは人によりますが、もしも相手が恋愛的な関係を求めているのに、自分が恋愛感情無しに結婚した場合、結婚後に両者が心地よい夫婦関係を継続することは難しいかもしれません。

経済的な不安から結婚のパートナーを求める場合、恋愛よりも経済的な協力関係を求めるような、同じ価値観の人を選ぶのが良いでしょう。

出典

総務省 家計調査報告〔家計収支編〕 2023年(令和5年)平均結果の概要
金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)
金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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