カフェインレスコーヒーが拡大  コーヒーを日常的に飲用している層も支持 カフェインマネジメントで広がり

カフェインレスコーヒー市場がじわりと拡大している。

妊娠・授乳期の女性やカフェイン不耐症の生活者による支持に加えて、コーヒーを日常的に飲用している層からも支持され“1日数杯飲むうちの1杯をカフェインレスに置き換える”といったカフェインマネジメント(カフェインコントロール)で広がりをみせているのが近年の特長。

インテージSRI+によると、カフェインレスコーヒーの販売金額は、2022年10月から23年9月までの1年間で前年同期比8.2%増の46億1000万円。19年同期比では1.4倍弱の伸びとなった。

この中で伸長著しいのはレギュラーコーヒー。同時期、18億9100万円に達し、前年同期比で13.9%増、19年同期比で約1.7倍の伸びをみせた。

インスタントコーヒーは同期間、前年同期比で4.6%増、19年同期比21%増の27億1900万円となった。

カフェインレスコーヒー市場 出典:インテージSRI+

ネスレ日本によると、家庭内のカフェインレスコーヒー市場は2023年、13年比では約3倍に成長したと推定する。
この背景についてネスレは「ご自宅でのコーヒー飲用機会の増加により定着化し、より良質な睡眠をとりたいなど健康志向の高まりから、カフェインレスコーヒーのメインユーザーである妊産婦さん以外にも、性別・年代を問わず幅広い層の飲用者が増加している」との見方を示す。

トップシェアを握るネスレの看板商品「ネスカフェ ゴールドブレンド カフェインレス」も拡大基調にある。中でも成長著しいのはスティックブラックタイプで、夕方以降の飲用ニーズを捉えて拡大しているという。

UCC上島珈琲の「おいしいカフェインレスコーヒー」は今年に入り勢いを加速。「ワンドリップ(ドリップコーヒー)は23年、売上金額ベースで2桁増になった」(UCC)と語る。

UCCは、レギュラーコーヒーで伸長が著しい点に着目する。
「レギュラーコーヒーを飲まれている方はコーヒー好きと推察される。ニーズは多岐にわたり、コーヒー愛飲者のライフスタイルにも合わせて需要が拡大していると考えられる」と説明する。

“寝る前のリラックス”を謳うUCCの「上島珈琲店 Time to Bed」も「23年の売上金額は、前年比で全カテゴリー成長した」と述べる。

一方、インスタントコーヒーで高い伸びをみせているのはキーコーヒーの「インスタントコーヒー カフェインレス」。前期(3月期)、数量・金額ともに2桁増となった。

好調要因について「在宅ワーカーによる自宅での飲用が増え、時間帯や健康状態で一時的にカフェインレス飲料を飲む新しい需要が定着した。中でも当社のインスタントコーヒーは“”水や牛乳でも手軽に楽しみたい”という生活者の声に対応し手軽さと汎用性の高さから最も伸長した」とみている。

キーコーヒーのドリップコーヒー「KEY DOORS+ドリップ オン カフェインレス 深いコクのブレンド」も数量・金額とも2桁増と好調。

味の素AGFのドリップコーヒー「ブレンディ レギュラー・コーヒー ドリップパック やすらぎのカフェインレス」も前期(3月期)、金額ベースで2桁増を記録。
「カフェインマネジメント意識が高まる中で、睡眠や利尿などを気にされて夜だけ飲むなどのスポット利用で間口(飲用層)・奥行(飲用杯数)ともに拡大していると捉えている」(AGF)。

市場拡大について、AGFは、外食やお茶、清涼飲料水などからカフェインレスメニュー・商品が多く出され生活者との接点が拡大していることも一因に挙げる。

UCCは4月1日から業務用の「UCC デカフェ ブラジル100%(豆)200g」を発売し外食などにもアプローチ。「開発のポイントであるミルクとの相性への評価が高く、順調にお取り扱いいただいている」(UCC)という。

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