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『テレビアニメ「鬼滅の刃」柱稽古編』で、竈門炭治郎(かまど・たんじろう)の声を演じている花江夏樹さんが、作品への思いを語りました。
花江さんは、『東京喰種』シリーズ(2014~2018年)など人気作品のキャラクターを多く演じているほか、アーティスト活動やドラマ出演など、幅広く活躍。自身のYouTubeチャンネルは登録者数200万人を突破しています。
物語の主人公・炭治郎は鬼に家族を殺され、鬼になってしまった妹の禰󠄀豆子(ねずこ=CV:鬼頭明里)を人間に戻すため、鬼殺隊の一員となって鬼と戦います。
めざましmediaでは作品を牽引する花江さんにインタビュー。放送中の「柱稽古編」の注目ポイントや、作品への思いを聞きました。
<花江夏樹 インタビュー>
――「柱稽古編」が現在放送中ですが、2019年に「竈門炭治郎 立志編」から始まった『鬼滅の刃』で炭治郎を演じてきた5年を振り返っての思いを教えてください。
テレビアニメをやりつつ映画もやって、それ以外にもいろんなイベント、グッズとか、『鬼滅の刃』に触れていない時期がないんじゃないかというくらい、たくさんの催しがあって、あっという間で濃い5年間だったと思います。
自分の中でも始まった当初と今では、成長したと感じる部分もありますし、あとは自分自身の環境が変わったというところもあります。
――「柱稽古編」は炭治郎たちが柱たちの特訓を受けることができる「柱稽古」が開催されますが、花江さんはどのように感じていますか?
『鬼滅の刃』は、「竈門炭治郎 立志編」で炭治郎が第三話のまるまる1話分ぐらいかけて修業するなど、ちゃんと修業の描写があって強くなっていくので、説得力があるんですよね。
ですので、鬼との戦いに向けて炭治郎たちが訓練する「柱稽古編」は個人的にすごく重要なシリーズだと思っています。
今まで登場回数が少なかった柱の皆さんも登場しますし、柱のファンの方は柱と炭治郎たちのやりとりの中で受け取るものが多いんじゃないかなと。
――「柱稽古編」で花江さんご自身が注目している柱のエピソードを教えてください。
冨岡義勇(CV:櫻井孝宏)が柱の中で一人ぼっちになる描写があって、そこが注目ポイントの一つだと思います。
口数が決して多くはない義勇さんですが、久しぶりに登場した義勇にどんな過去があるのか、そして、どういう思いでいるのかがわかるので、皆さんにも楽しんでいただきたいです。
――「柱稽古編」の収録はいかがでしたか?
(不死川実弥役の)関(智一)さん、(伊黒小芭内役の)鈴村(健一)さん、(悲鳴嶼行冥役の)杉田(智和)さんとは柱合会議前の裁判のシーン以来で、そのときも収録は一緒にできなかったので、新鮮でした。
一緒に掛け合いができてうれしかったです。「柱稽古編」では基本的にみんなで収録できたのが、すごくよかったですね。関さんも「初めて一緒に録ることができて、やっと『鬼滅』に参加している実感が湧いた」とおっしゃっていました。
――柱を演じるキャストの方々とのかけ合いについて、改めて、どんなふうに感じたのかを聞かせてください。
技術も声の魅力もある先輩方で、僕はそれを隣で感じながらやることができました。炭治郎が柱たちに感じているような気持ちになりましたし、やりやすかったです。
――「柱稽古編」の炭治郎を演じるうえで大切にしたことはありますか?
基本的に炭治郎は変わらないので、今まで通りのまっすぐな部分や、彼の中の素直さ、優しさをしっかり持つようにしていました。「柱稽古編」はコミカルな部分も見どころの一つなので、シリアスな部分とのメリハリをより付けられればいいなと。
シリアスなシーンだと、なんとなくイメージは決まっているんですけど、コメディっていろんな言い方や、相手との掛け合い次第で違ってくるので、どんなパターンでいこうかとか、いろいろ考えましたね。
――原作では炭治郎が心を閉ざす義勇に付きまとうコミカルな場面がありますが、そこがアニメでどう描かれるのかも楽しみです。
そういうところに彼らしさが出ていて、かわいいなと思いました。炭治郎って、なんか人とズレている部分もあって、噛み合っていない感じが面白いですよね。
ずっと炭治郎を演じられるのは、自分の心の支え
――ここまで炭治郎を演じてきて、大人から子どもまで幅広い年齢のファンがいる『鬼滅の刃』の魅力をどのように感じますか?
『鬼滅の刃』には、炭治郎と禰󠄀豆子、実弥と玄弥(CV:岡本信彦)、(胡蝶)しのぶ(CV:早見沙織)と(栗花落)カナヲ(CV:上田麗奈)といったきょうだいが登場して、きょうだいや家族の絆が描かれています。
家族への思いは普遍的ですし、誰にでも子ども時代があって、親になってわかる気持ちもあると思います。きょうだい、家族の絆の大切さや尊さが物語に込められているから共感できて、幅広く支持していただいているのかなと。
僕もそういう気持ちを忘れないようにしなくちゃと思いますし、『鬼滅の刃』では、元気や一歩踏み出す勇気、力をもらえるようなセリフがとても多いです。
――花江さんご自身も、炭治郎を演じることで勇気をもらっているのでしょうか?
演じていて「炭治郎がこんなに頑張っているんだから、自分ももっと頑張れるんじゃないか」と思いますし、「それぐらいの気持ちでやらないと届けられない」と常に思いながらやっています。
――『鬼滅の刃』のように長いシリーズに携わることのやりがいをどのように感じていますか?
同じ人物をずっと演じられることって、そんなに多くないと思うんです。これだけ継続的にアニメから、ゲーム、いろんなコラボレーションのアナウンスを担当してきて、ずっと炭治郎ができることは自分の心の支えになります。
演じていくにつれて「もっとこういう表現ができるんじゃないか」「このセリフはこうしたほうがいいんじゃないか」と、始まった当初よりも迷いがなくなって、どう演じるかがすっと浮かんでくるようになっていて、そこは長くやっている良さだと思います。
あと、これだけいろんな方に注目していただけているからこそ、ほんのわずかなセリフも気が抜けないなと。プレッシャーもありますが、それが原動力にもなっています。
――ご自身でこの作品を観るときは、どんな気持ちになりますか?
なぜか『鬼滅の刃』を観るときは、自分がやっているという感覚がないんですよね。自分がやったアニメを観るときって大体、「こうすればよかったかな」と、反省会しているような気持ちになっちゃうんですけど『鬼滅』は、そういうことがなく観られるので、炭治郎って僕にとっては、ちょっと不思議な存在ですね。
――それは作品の力なのでしょうか?
もちろんそうですし、あとは炭治郎がすごくいい子で、僕が『鬼滅の刃』がめちゃくちゃ好きだし、長くやっているからなじんできたからじゃないかと。
仕事の必需品は鼻スプレー
――ちなみに、花江さんは、どの柱の稽古だったら受けてみたいと思いますか?
基本、どの柱の稽古も無理そうなのですが(笑)、宇髄(天元・CV:小西克幸)さんは一番基礎的なことをやっているので、宇髄さんですね。
僕は体が硬く、甘露寺(蜜璃・CV:花澤香菜)さんの地獄の柔軟はキツいと思うし、ほかの柱も無理そうなので(笑)。
――そもそも、花江さんは何かの稽古をするのはお好きですか?
好きではないですね。同じことを繰り返してやるのが苦手なんです。舞台とかで何ヵ月も稽古して同じ内容を毎日やるのは、すごいなと思います。
――「柱稽古編」は鬼殺隊が次の戦いに備えて稽古しますが、花江さんが仕事に向かうときに必ず準備するものはありますか?
鼻スプレーです。鼻炎で慢性的に鼻づまりがあるので、必需品です。持ってくるのを忘れた場合は、薬局に寄って買います。だから、同じ鼻スプレーが10個ぐらい、いろんなカバンに1個ずつ入っていて、どのカバンで出かけても大丈夫なようになっています(笑)。
――花江さんがお勧めしたい見どころを教えてください。
序盤から「こういうシーンから始まるんだ」と、うれしい気持ちになりました。第一話は、柱が一堂に会してしゃべっているところから、ファンの皆さんもすごくワクワクしたのではないでしょうか。
炭治郎は、(我妻)善逸(CV:下野紘)や(嘴平)伊之助(CV:松岡禎丞)と久しぶりに合流し、にぎやかになって安心感を得ます。カナヲと玄弥も出てきて、鬼殺隊同期同士のやりとりも楽しみにしていただきたいですね。
撮影:河井彩美
取材・文:伊沢晶子
<放送概要>
『テレビアニメ「鬼滅の刃」柱稽古編』
毎週(日)23時15分~45分
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable