【ミャンマー】ロヒンギャ迫害、アラカン軍と国軍に責任[政治]

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は24日、ミャンマーの少数民族武装勢力「アラカン軍(AA)」と国軍の双方がイスラム教徒少数民族ロヒンギャを迫害していると非難する声明を出した。民主派からは国軍の責任を問う声明が出ているが、アラカン軍が「完全占拠」したとする地域でも残虐行為が行われているとされる。

アラカン軍は西部ラカイン州内でバングラデシュに隣接する二つの郡区(ブティダウン、マウンドー)の制圧に向けて攻勢に出ている。国軍は今月中旬にブティダウンの町から撤退。多くのロヒンギャが住むマウンドーでも戦闘が激化している。

UNHCRは、両郡区を巡る攻防で多くの市民が避難を余儀なくされており、このうちロヒンギャ4万5,000人が保護を求めてバングラデシュ国境を流れる川まで押し寄せていると指摘した。ロヒンギャ数十万人が国境を超えてバングラデシュに逃れた2017年の人道危機の再来を想起させる状況で、同国に保護を要請している。

国軍が長年ロヒンギャを迫害してきたと追及しつつも、今回は「アラカン軍と国軍双方がロヒンギャを攻撃している」と指摘。ブティダウンの町では、国軍が撤退してアラカン軍が占拠を主張した後に焼き打ちが発生しているとされており、情報を精査しているという。

ブティダウンを逃れた市民からは、アラカン軍の兵士から虐待を受けたなどの証言が出ている。

ラカイン情勢を巡っては、軍政に対抗しようとする民主派政治組織「挙国一致政府(NUG)」が21日、国軍が民族間対立をあおっているなどと非難した。ただ、アラカン軍への言及がなく、X(旧ツイッター)上では「挙国一致政府は現場を知らない」などと疑問を呈する声が上がっている。

ミャンマーでは21年2月のクーデターで国軍が実権を掌握。以降は各地で民主派武装組織が生まれ、民族紛争も再燃した。昨年10月には、三つの少数民族武装勢力が北東部シャン州北部で国軍への一斉攻撃を開始し、国軍が劣勢に立たされている。

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