●駅から路面電車で
26日に初の民間主導で行われたトランジットモールの来場者は、富山駅から路面電車を利用して訪れたり、会場となった大手モールを起点にまちなかの店舗、施設へ繰り出したりした。これまでより多くの飲食店や休憩テーブルが設けられ、来場者はゆったりと滞在し、終始、人波が絶えなかった。
トランジットモールの定着に伴い、公共交通で駅周辺や中心市街地を往来する人の流れが生まれてきた。
「帰りは路面電車に乗り、富山駅の施設で買い物もします。イベントは子どもが公共交通に触れるいい機会になりました」。富山市八尾町の山﨑かおりさん(42)は、杉原小2年の息子大輔君(7)ら4人で訪れた。バルーン作りやドローン操縦体験を楽しんだ後、環状線とJR高山線を乗り継いで帰宅するとした。
上市町の中野良子さん(44)も、富山駅での古本イベント後、路面電車で立ち寄り、「天気が良く、いろいろな店を見られた」と笑顔をみせた。
●飲食店増え人波
初の民間主導となった今回、越中大手市場の出店数のうち飲食店数は従来の十数店舗から23店舗に増えた。実行委は、休憩テーブルを前回の30基から40基に増やし、滞在時間の増加を図った。
家族4人で訪れた富山市の会社員奥野勝太さん(43)は、「ご飯とお酒が楽しめて子ども向けのイベントも多く、半日過ごせる。まちなかは月1回来るかどうかで、もっと来たい」と語った。長女の彩葉さん(9)は「かわいいアクセサリーがたくさんあった。キラリ(にある市立図書館)に行って本を借りたい」と話した。
●継続、拡大求める声 出店者
出店者からはトランジットモールの継続や拡大を求める声が多く聞かれた。毎回、シチューを販売している富山市の自営業谷中秀治さん(64)は、回数を重ねて出店者同士の交流が生まれているとし、「出店者や来場者に一層寄り添ったイベントになり、より多くの人が訪れる場となってほしい」と期待した。
初めて出店した富山市の野中詩織さん(26)は、スコーンやマフィンを早々に売り切り、「明るい雰囲気が気に入った。これから毎回出店したい。もっと開催回数を増やしてほしい」と希望した。
富山トランジットモール実行委の秋吉克彦委員長(58)は、想定以上に子育て世代の家族連れが多かったと手応えを示し、「次回以降は、中高生や大学生など、さらに若い人にとってより魅力的なイベントにしていきたい」と語った。
富山市は「官が支え、民間が主導する形となり、富山駅と総曲輪をつないで、にぎわいに連続性が生まれることに期待したい」(まちづくり推進課)とした。