逆風下で党の再生誓う 自民党富山県連大会、新田氏の県知事選推薦・堂故氏の参院選公認を決議

ガンバローを三唱する新田氏(中央右)と堂故氏(同左)ら=県民会館

 自民党富山県連は26日、県民会館で定期大会を開き、秋の知事選に現職の新田八朗氏(65)=1期、無所属、富山市千石町=を推薦候補として、2025年夏の参院選富山選挙区(改選数1)に現職の堂故茂氏(71)=2期、氷見市余川=を公認候補として、党本部へ申請する特別決議を採択した。県連が新田氏を推薦するのは初めて。党派閥の政治資金パーティー裏金事件で強い逆風が吹く中、党再生へ結束することも確認した。

 特別決議を受け、新田、堂故両氏はそれぞれ決意を述べた。新田氏は保守分裂の激戦となった2020年の前回選を念頭に「皆さまにご苦労をかけ、つらい思いをさせてしまったこともあったと思う。だが、富山に分断は似合わない」と融和と支持を訴えた。堂故氏は裏金事件を踏まえ「非常に厳しい状況だと肝に銘じて準備したい」と強調した。両氏は県連会長の橘慶一郎衆院議員らとともに「ガンバロー」を三唱し、壇上で握手した。

 新田氏は前回選で自民党県連の推薦を得られず、青年会議所などの組織を軸に戦って勝利した。3月末に再選出馬を表明し、党富山市連を通じ自民に推薦を求めた。党県連が地域・職域支部から意見を募るなどしたところ異論は出ず、5月20日の常任総務会で推薦を決めていた。

 大会には約1050人(主催者発表)が参加。冒頭、橘会長は党員らに裏金事件について陳謝し「反省すべきは反省し、国と富山を良くするため皆さんと歩みたい」とあいさつ。優秀党員らを表彰したほか、昨年夏に豪雨被害で亡くなった赤池伸彦南砺市議を特別表彰した。幹事長の宮本光明県議が党の状況を報告した。

 来賓として麦野英順富山経済同友会代表幹事や山本徹県議会議長、県内11市町村長も出席。能登半島地震の復旧・復興などに全力を尽くすとした大会アピールを採択した。岸田文雄首相のメッセージが読み上げられ、県連常任顧問の田畑裕明衆院議員の主唱で万歳三唱した。

新田氏「もう赤組・青組ない」

 新田氏は決意表明で、赤と青のストライプのネクタイを手に取り「もう『赤組』『青組』はない。そんな思いでこれを締めてきた」と強調した。

 赤と青は、前回知事選で自民陣営と新田陣営がそれぞれ取り入れたイメージカラー。県内各地で激しい舌戦が繰り広げられた保守分裂選は「赤組と青組の戦い」とも呼ばれた。

 新田氏にとって、この日出席した約1千人の党員や党県連幹部の多くは、前回戦った相手でもある。こうした事情を踏まえてか、「大変ご苦労をかけた」とわびる場面もあったが、自ら融和を図るようにネクタイの話題に触れると会場からは笑いも起きた。

 推薦決定については「知事としての3年半の取り組みを認めていただき、さらに頑張れとの意思を示していただいた」と受け止め、選挙戦に向け「力添えを得て、よりよい富山をつくっていく」と述べた。

堂故氏「厳しい状況を肝に銘じ」

 堂故氏は、党派閥の政治資金パーティー裏金事件の影響を念頭に「党が置かれている厳しい状況を肝に銘じ、しっかりと準備し来年の参院選に臨む。党、富山県、国の再生のため全力を尽くす」と決意を述べた。

 能登半島地震を受け、国土交通副大臣として「県内市町村や被災者の負担ができるだけ軽くなるよう、政策を作り上げてきたつもりだ」と強調。引き続き復興・復旧に力を尽くすとともに、災害に強い地域づくりに取り組む考えを示した。

 少子高齢化や人手不足といった課題には、人工知能や情報通信が効果的だとし「経済を飛躍的に発展させるチャンスの時でもある」と語った。今国会で成立した、都市と地方を行き来する2地域居住者の増加を目指す法案の成立に関わったことも紹介。国や県、党員など「チームを大切にしながら政策に取り組む」と力を込めた。

自民県連、まだ新田氏から推薦誓約書届かず

 自民党県連は知事選で新田氏を推薦するに当たり、党のガバナンスコード(運営指針)の誓約書に新田氏が署名することを前提としている。県連幹部によると、26日時点で新田氏の署名は届いておらず、今後の政策協定締結や、党本部への推薦申請のタイミングで提出を求めるという。当初は県連大会までに手続きを終える予定だった。

 運営指針には世界平和統一家庭連合(旧統一教会)側と一切関係を持たないとの方針が反映されている。県連幹部によると、新田氏は誓約書に署名することは了承しているという。

参院選と知事選の勝利に向けて「ガンバロー」と拳を上げる出席者
青と赤色のネクタイを手にし融和と団結を呼びかける新田氏
来年夏の参院選に向けて決意を述べる堂故氏

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