AI党のAIメイヤーが都知事選出馬へ 〝カイロ大卒〟小池百合子現知事に叩きつける挑戦状の中身

都知事選に出馬するという「AIメイヤー」

東京都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)で、カイロ大卒相当のAI(人工知能)搭載をうたう謎の候補が、大本命の小池百合子都知事に挑戦状を叩きつけた。AI党の「AIメイヤー」が出馬の意志を固め、匿名を条件に取材に応じた。異色の候補はどう小池氏に挑むのか――。

小池氏は3選を目指し、29日に立候補を表明する見通し。カイロ大卒を巡る学歴詐称騒動への対応が焦点となる。

「カイロ大卒業相当のカリキュラムをAIに学習させ、アラビア語と英語と日本語でマニフェストを作成、公表します。小池さんとアラビア語で政策論争したい」と訴えるのは「AIによる公正な政治」を掲げるAIメイヤーだ。

AIがまだ世に浸透していない2018年の東京・多摩市長選でいち早くAI政治の導入を叫び「時代を先駆け過ぎた男」といわれる実業家の松田道人氏が仕掛け人だ。

国会答弁や各自治体の業務でもChatGPTが採用されるなど、急速にAI技術は導入されているが「AIメイヤー」はさまざまな行政データや統計、政策などを学習したAIに人間がプロンプトを作成し、政策立案や意思決定を行う仕組みだ。プロンプト次第でAIの政治志向も変わってくるが、その指示内容も透明化することで、公正化を図るという。

昨年11月の神奈川・真鶴町長選でも「AIメイヤー」名義で立候補し、落選した。今度は首長選で最も注目を集める都知事選へのチャレンジとなるが、本名だけでなく、年齢や素顔、経歴もすべて非公開としたい意向だ。対外的な活動や選挙ポスター、選挙公報で登場するのはAIで作成したアンドロイドで、アバターのような位置づけになる。

その意図は「地方議員を中心に成り手不足で、サラリーマンの副業となる時代が来るが、会社の就業規則で公民権行使が認められているにもかかわらず、実態は会社を辞めないと出馬できないのがほとんどで、ハードルを下げたい。また性別や年齢、顔も出さないことで、ルッキズムを排除し、政策だけで勝負するような政治の仕組みが必要」と政治に参加しやすい環境づくりと、外見や経歴ではなく中身で判断してもらいたいという。

その上で「『このままいけば小池氏が当選するだろう』とほとんどの人が思っている。でも、小池さんが8年前に掲げた児童待機ゼロや残業ゼロなどの7つのゼロは、たまたまコロナで満員電車ゼロを達成しただけ。電柱ゼロは技術的には可能だが、コストに見合わないなど、AIで評価、改善策を提示できる。小池さんは振り返らない人なので、立ち止まって、政策論議をしたい」と訴える。

選挙公報などには小池都政の評価や提言をアラビア語と併記する予定。「小池さん、読めますよね」と皮肉を込めた強烈なアンチテーゼとしたいという。近く出馬会見を開く予定で、都知事選では小池氏との討論が実現するかが注目される。

都知事選にはこれまで広島・安芸高田市の石丸伸二市長ら23人が立候補を表明しており、過去最多となる見込みだ。

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