奥久慈しゃも 生産者育成へ 茨城県、入門講座の受講生募集

国の地理的表示(GI)保護制度に登録されている奥久慈しゃも(県提供)

茨城県銘柄鶏「奥久慈しゃも」の担い手の減少が進む中、県は本年度の生産入門講座の受講生を募集している。奥久慈しゃもの生産者はピーク時の2分の1以下にまで減少し、担い手と生産量の確保が課題となっている。県県北農林事務所の担当者は「副業でも取り組める。ぜひ参加してほしい」と呼びかける。

奥久慈しゃもは2018年に、地域の産物や食品ブランドを守る地理的表示(GI)保護制度で、地鶏として全国で初めて登録された銘柄鶏。奥久慈地域の特産品として地元の飲食店をはじめ、首都圏の有名飲食店で取り扱われるなど、高い評価を得ている。

県によると、生産者はピーク時の05年に19戸だったが、今年5月に1戸加わったものの8戸まで減少している。生産羽数は、記録が残っている09年には5万1392羽だったが、23年は約3万9741羽まで減っている。

生産者でつくる奥久慈しゃも生産組合(同県大子町)の菊池敏治理事(31)は「全国の飲食店から需要があるが、新規受注を受けられない状況。担い手が不足している」と現状に危機感を表す。

講座は、奥久慈しゃも生産組合と県県北農林事務所が主催し、22年から年1度実施。当日は、奥久慈しゃもの歴史や餌やりの方法などの講話がある。生産者との交流やしゃも料理の試食会も行われる。

奥久慈しゃもの生産可能な地域は大子、常陸大宮、常陸太田、高萩の3市1町に限られる。そのため、奥久慈しゃもの飼育に興味があり、県北地域の居住者や居住できる人が対象。

募集人数は10人程度。受講は無料。応募の締め切りは6月17日。問い合わせは同事務所(電)0294(87)6680。

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