大坂なおみが全仏オープンで約2年4カ月ぶりの四大大会勝利!「戻ってこられて本当にうれしい」<SMASH>

いよいよ戦いの火ぶたが切って落とされた今季2つ目のテニス四大大会「全仏オープン」(5月26日~6月9日/フランス・パリ/クレーコート)。大会初日の現地26日には女子シングルス1回戦が行なわれ、スペシャルランキング(妊娠・出産を経た選手に与えられる救済措置)で参戦している元世界ランク1位の大坂なおみ(現134位)がセンターコートの第1試合に登場。ルチア・ブロンゼッティ(イタリア/同67位)を6-1、4-6、7-5で下し、2回戦進出を決めた。

年明けに産休からのカムバックを遂げて以降、試合を重ねるごとに調子を上げている26歳の大坂。クレーシーズンに入ってからも前哨戦の「イタリア国際」(イタリア・ローマ/WTA1000)でベスト16入りを果たすなど苦手な赤土のサーフェスで良質なパフォーマンスを見せてきた。

2022年以来2年ぶりの全仏出場となった今大会初戦、大坂はポイントを先行されながらも開始直後の第1ゲームをキープ。序盤は少々硬さが見られたものの思い切ってラケットを振りながらポイントを重ねていく。

すると第4ゲームでは大坂がウイナーを立て続けに奪い、最後はバックハンドでの鋭角なリターンでこの日初のブレークに成功。その後も大坂はブロンゼッティのバックサイドにボールを集めながら攻撃的なテニスを貫いて主導権を掌握し、わずか26分で第1セットを先取する。

第2セットに入っても大坂は相手に流れを渡さずにサービスキープを継続。迎えた第7ゲームでは大坂にブレークポイントが到来する。しかしここはチャンスを生かしきれず、その後は互いに一歩も譲らない緊迫の展開となる。
終盤の第10ゲームでは大坂がミスを連発しセットポイントを献上。最後は3球目のフォアハンドを大きくサイドアウトしてセットオールに持ち込まれる。それでもファイナルセットでは大坂が第1ゲームでブロンゼッティのディフェンスを打ち破って早々にブレーク。その後もラリー戦ではブロンゼッティのミスを誘発し、ゲームを優位に進めていく。だが第6ゲームでブレークを返されると徐々に流れはブロンゼッティへ。4-0から4-5と逆転を許し苦しい状況に立たされる。

第10ゲームは何とか踏ん張ってキープした大坂。第11ゲームでネットインでのポイントを獲得するなど運も味方に付け、値千金のブレークを果たして勝負あり。2時間1分の熱戦をものにした。

大坂の四大大会での勝利は22年全豪以来約2年4カ月ぶりで、母となってからは初めてのことだ。試合後のオンコートインタビューでは「まず皆さんにありがとうと言いたい。戻ってこられて本当にうれしい」と心からの感謝を示しつつ、次のように喜びの言葉を口にした。「良いプレーができた場面とそうでない場面があったけど、概ね試合内容についてはハッピーよ」

勝った大坂は2回戦で大会3連覇を狙うイガ・シフィオンテク(ポーランド/1位)と予選勝者のルオリア・ジャンジャン(フランス/148位)のどちらかと対戦する。おそらくシフィオンテクが来ることが濃厚だが、いずれにせよ次戦も大坂の奮闘を期待したい。

文●中村光佑

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