「グラノーラ」が健康的な朝食や間食として注目される理由【時間栄養学的「気になる食品」】

グラノーラ

【時間栄養学的「気になる食品」】

ラテン語で「種」を意味するグラノーラ。その歴史は19世紀初頭のアメリカに遡ります。温泉を経営していたジェームズ・ジャクソン博士が健康的な食事を提供したいと考え、オーツ麦と小麦粉を混ぜて焼き、乾燥させ粉々にしたグラノーラを開発したのです。その後、1960年代のヒッピームーブメントによってドライフルーツやナッツ、ハチミツなどを混ぜた現代に近いグラノーラの形になっていったそうです。

グラノーラの健康効果は多岐にわたります。オーツ麦には食物繊維が豊富に含まれており、腸内の善玉菌の増殖を促進し、消化をサポートすることがわかっています。特にβ-グルカンという種類の水溶性食物繊維が血糖値の上昇を抑制し、コレステロールを低下させる効果や、心血管疾患のリスクを減少させる報告もあります。

近年では、さまざまバリエーションが登場し、フルーツやナッツをふんだんに使ったフルーツグラノーラの健康効果が注目されています。18~37歳の健康な女性12人にフルーツグラノーラを食べてもらい、朝食前後のαアミラーゼ(多いほどストレスを感じている指標になる)の変化量を調べた実験では、フルーツグラノーラを食べた時のαアミラーゼの量が最も変化しづらかったことがわかりました。また、幸せを感じると分泌されるオキシトシンの濃度が高かったのもフルーツグラノーラという結果でした。

私たちのグループでもフルーツグラノーラの健康効果を確認しています。20~40代の女性を対象にした研究で、夕食前の間食としてフルーツグラノーラを食べると、同じ夕食内容にも関わらず夕食後血糖値が低くなることがわかりました。小学生を対象にした普段の朝食にフルーツグラノーラスナックをプラスオンした実験では、16種類もの栄養素充足率がアップしたほか、平日で11分、休日は15分も早起きになる効果や、お通じが良くなるなどの効果が見られました。

ただし、夕食後にデザートや間食としてフルーツグラノーラを摂取した場合は、添加されている糖質の影響からか睡眠の質を悪くしてしまう可能性も……。適度な摂取量とバランスの取れた食事と組み合わせたり、さまざまなグラノーラを自分でカスタマイズすることで、健康的な朝食や間食として有効な食品となるでしょう。

(古谷彰子/愛国学園短期大学准教授)

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