天国から地獄…喜び爆発も一転 ラグビー埼玉パナ2季ぶりの優勝逃す 「来年こそは王座奪還を」地元熊谷のファンエール

埼玉パナソニックワイルドナイツの敗戦が決まり、ショックを受ける来店客たち=26日午後5時ごろ、熊谷市小曽根のワイルドナイツカフェ

 ラグビーリーグワンのプレーオフ(PO)決勝が26日に東京・国立競技場で行われ、埼玉県熊谷市を活動拠点とする埼玉パナソニックワイルドナイツは東芝ブレイブルーパス東京に20―24で惜敗し、2季ぶりの優勝を逃した。熊谷のファンたちは落胆したが、「いい試合だった」と健闘をたたえつつ、「来年こそは王座奪還を」などとエールを送った。

 熊谷市と市観光協会は、準決勝に続いて決勝も応援バスツアーを開催。20日午前10時から申し込みを受け付けたが、希望者が殺到し、2時間足らずで定員先着280人の枠が埋まった。バスが県熊谷地方庁舎とコミュニティひろばを出発する1時間以上前に、同庁舎に市内から訪れた会社員吉田和正さん(55)は「相手は東芝なので点差は開かないと思うが、最終的には勝ってくれれば」と期待を込めた。

 午後3時5分に試合がキックオフされると、同市小曽根の「ワイルドナイツカフェ」では約15人のファンが集結。大型テレビで試合の行方を真剣なまなざしで見守った。一喜一憂しながら試合を観戦し、試合終盤に逆転トライが決まったかと思われた場面では喜びを爆発させた。だが、ビデオ判定「TMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)」でトライが取り消された後、敗戦が決まると、頭を抱えたり、うなだれたりして、大きなショックを受けていた。

 市内から訪れた木村浩さん(59)、貴美子さん(55)夫妻は「勝ったと思ったら負けてしまったが、いい試合を見せてもらった」、同市の高橋将哲さん(55)、由美さん(55)夫妻も「天国から地獄だったけど、ドラマチックな試合だった」と語った。妻の明香さん(38)、長男の洸己さん(4)と訪れた市内の栗原俊彦さん(47)は「決勝ならではのすごい試合だった。来年こそは王座奪還をしてほしい」と力を込めた。

 同市筑波の駅ビル「アズ熊谷」3階にあるワイルドナイツミュージアムでは、用意していた「優勝」を「準優勝 感動をありがとう!」に替えてくす玉割りを行った。王座奪還を期待していただけに、笑顔はなかった。

 アズ熊谷のスタッフ、加島楓さん(27)は「最後まで粘り強く頑張ってくれた。今年こそはと期待していたので、やっぱり、残念」と悔しそうだった。

 寄居町の会社員堀口直樹さん(51)は「歴史的な瞬間に立ち会えたと思ったが…、残念。深谷高出身の山沢拓也選手とうちの娘が同級生。親子でラグビー好き。ワイルドナイツを応援している」と話した。

 アズ熊谷の店長、小室由美子さん(52)は「大接戦で、最後まで楽しめた。熊谷はラグビーに力を入れている。まさに、『感動をありがとう!』です」と健闘をたたえていた。   ■市内5商業施設 クマPAY贈呈

 熊谷市内の大型商業施設5館と熊谷商工会議所で構成する「まちなか元気事業実行委員会」は、埼玉パナソニックの準優勝を受けて、合同企画を実施する。

 アズ熊谷、ティアラ21、ニットーモール、八木橋、イオン熊谷店の大型商業施設5館と、市内店舗が参加し、各店に共通デザインの制作物を掲出。5館では6月1、2日に、地域電子マネー「クマPAY」200円分のチャージ済みカードを各施設、各日先着150人、計1500人にプレゼントする。

 問い合わせは、実行委企画窓口のJLLリテールマネジメント(電話03.6773.5400、平日午前9時~午後5時)へ。

ワイルドナイツの健闘をたたえて「準優勝 感動をありがとう!」のくす玉が割られた=26日午後、熊谷市筑波、ワイルドナイツミュージアム

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