定額減税「来年も実施」の口車も効果ナシ “恩着せメガネ”岸田首相の懐刀が言及もどの口が?

どの立場で言う?(岸田首相の側近、木原誠二幹事長代理兼政務調査会長特別補佐)/(C)日刊ゲンダイ

国民をナメるにもほどがある。6月に始まる定額減税は1回こっきりなのに、給与明細への明記が義務化されるなど、その恩着せがましさに悪評ふんぷん。すると、岸田首相の最側近が来年も実施する可能性を示唆しだした。定額減税の名目は円安が招くインフレ対策。継続すれば「今年、物価上昇を上回る所得を必ず実現する」と力む岸田首相の目標は未達ということになる。矛盾全開なのは人気取りが目的だからに他ならない。フザケルナ!

岸田首相の「懐刀」と呼ばれる自民党の木原誠二幹事長代理が26日、「日曜報道 THE PRIME」(フジテレビ系)に出演。1人当たり所得税3万円、住民税1万円を本来の税額から差し引く定額減税について「この政策は去年決めたが、足元の円安はこの1月からさらに進んでいる」と言及し、こう続けた。

「定額減税の目的は官民でしっかり物価高を超え、所得を上げていくということ。物価の状況が改善せず、なかなか乗り越えていけない、またデフレに戻るということであれば私は来年だって考えないといけないと考える」

この日は与野党対決の構図となった静岡県知事選の投開票日で、人気取りなのがミエミエだ。延命しか頭にない岸田首相にとって絶対に落とせない選挙。9月の党総裁選で再選するためには、その前に解散総選挙に突っ込むしかない。果たして自民が推薦した元副知事は敗れ、岸田政権にとって衆院3補選全敗に続く4連敗となった。

政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう言う。

「岸田首相が政権浮揚をかける外遊のさなか、解散シナリオを左右する重要選挙にブツけてニンジンをぶら下げたのでしょうが、エサにもなりはしません。そうこうしているうちに防衛増税や、子ども・子育て支援金の徴収が始まる。定額減税を延長したところで、それを実感する間もなく、新たな負担に押しつぶされますよ」

■「効果なし」75%

日経新聞とテレビ東京の世論調査(24~26日実施)によると、定額減税が物価対策として「効果があるとは思わない」との回答が75%を占めた。岸田首相は「来年以降に物価上昇を上回る賃上げを必ず定着させる」とも言っているが、ピント外れの政策に意気揚々としている政権は何をやってもダメ。「恩着せメガネ」にはお引き取り願おう。

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