小澤征爾さんに追悼の調べ 茨城・水戸芸術館で「お別れ会」

小澤征爾さんのお別れ会で献奏する水戸室内管弦楽団の団員たち=26日夜、水戸市五軒町の水戸芸術館

2月に死去した世界的指揮者で水戸芸術館長を務めた小澤征爾さん=享年88歳=の「お別れ会」が26日夜、水戸市五軒町の同館コンサートホールATMで開かれた。県内外から音楽ファンら約930人が参列した。多くの参列者がマエストロとの別れを惜しみながらも、「素晴らしい音楽は心の中で生き続けている」など思いを口にしていた。

お別れ会では、高橋靖市長が「小澤さんは市民の中に溶け込んで、芸術を身近に感じる取り組みを数多くなされた。水戸芸術館の成長を天空より見守ってください」と語った。同館を運営する水戸市芸術振興財団の福田三千男理事長や水戸市議会の大津亮一議長も小澤さんとの別れを惜しんだ。

スクリーンでは生前の小澤さんの活躍を映像で紹介。ベートーベン作品などで数々の共演を果たしたピアニストのマルタ・アルゲリッチさんやホルン奏者のラデク・バボラークさんとの演奏シーンが映し出された。

その後、MCOのメンバーらが献奏。「G線上のアリア」など2曲を奏でた。

最後に小澤さんの長女、征良さんが、小澤さんの闘病を振り返り、「父は身体的な制約があっても音楽の中では自由だった。これからも皆さまの心の中で生き続けます」と涙を浮かべ謝辞を述べた。

閉会後は、エントランスホールにパイプオルガンによる献奏の調べが流れる中、参列者は置かれた献花台に白いカーネーションを1本ずつ供えた。

同市の県立水戸三高3年、寺内弘志さん(18)は「訃報を聞いた時はショックを受けた」と振り返り、「素晴らしい音楽とつながれる水戸芸術館を作ってくれたことを感謝したい」と目を細めた。千葉県から訪れた税理士の女性(53)は「神さまみたいな人。音楽を通してその存在は心に残っている。これからも導いてほしい」と微笑んだ。

東京から訪れた水戸室内管弦楽団長、堀伝さんの妻、慶子さん(84)は「小澤さんと主人は学生時代から続く兄弟のような仲。きょうは素晴らしい会に参加できてよかった。小澤さんの音楽は私たちの心の中で生き続けます」と話した。

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