いまは完全なる「利ざや状態」…いまだに不動産投資=ギャンブルと考えている人に知ってほしい「オフィスビル投資」を始めるべき理由【不動産売買のプロが解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

投資に対して「お金を投じてお金を増やすギャンブル」というイメージを持っている方は少なくありません。しかし、投資とは「資産防衛」であり、なかでも不動産を長期で持つこと自体は投機的な側面はない。むしろ現金を持つよりも不動産を持った方がいい時代だと青木龍氏は言います。ここでは『御社の新しい収益基盤を構築する 区分オフィスビル投資術/著者:青木龍氏』(ビジネス教育出版社)より一部抜粋し、オフィス投資を始めるべき理由について解説します。

不動産投資も「賃貸業」なら怖くない

「Investmentの本来の意味は、身にまとう・守る=資産防衛である」

この言葉は私が講演やセミナーなどで繰り返しお話ししていることです。投資には「お金を投じてお金を増やすギャンブル」的なイメージがあります。たしかにお金を投じること自体は間違っていません。ですが、決してギャンブルではありません。

しかし、現実は「投資」と「投機」を一緒に考える人がまだまだ多い印象があります。その原因になっているのは、バブル経済の崩壊によって不動産で失敗した人の話や、リーマンショックで不動産会社が倒産した話をニュースなどで耳にすることが多いからではないでしょうか。

バブル経済の崩壊を振り返ってみると、たしかに土地で失敗したという話はよくありました。しかし、当時と今とでは不動産投資にまつわる事情が大きく異なっています。

バブル期は不動産の利回りが2%くらい、金融機関の金利が6~10%くらいの完全な「逆ざや状態」でした。にもかかわらず不動産の価格は上がり続けるという神話があり、買ってから2~3ヶ月も持てば3~4割も価値が上がって儲かるので短期売却が主流でした。

要するに、不動産にも投機的側面があったのです。結果、最後に一番高い金額をつかまされた人はみるみるうちにその価値が下がり、売る相手がいなかったため、結果的に失敗をしてしまったというわけです。

しかし、今は不動産の利回りが4~5%、金融機関の金利は1~2%程度と、完全な「利ざや状態」です。

そして現時点で、先進国の中で経済的発展があり、インフラも整っていて利ざや状態で不動産が回っている国は、恐らく日本しかないと思われます。つまり、長期保有で不動産を持つこと自体は、投機的側面がありません。むしろ怖くない安定資産なのです。

リーマンショックの際には、ゼファーやスルガコーポレーション、アーバンコーポレーションなど、多くの不動産会社が経営破綻の末に民事再生手続きを行いました。しかしこれらはすべて“不動産売買”を行っていた企業です。これらの企業から物件を購入していた個人投資家が、長期のローンを組んでいたことで連鎖的に倒産したり、破綻したりするようなことはありません。

不動産投資をする場合、貸事務所業を行う場合であっても、自分で使用する(事務所として使用する、住む)場合であっても、「長期保有」であれば破綻率は全然違います。これが、私が貸事務所業をおすすめする理由の1つです。

今もまだ不動産投資へのアレルギーを持っていたり、なんとなく恐怖心を抱いたりしている人たちにはぜひこのことを知っていただきたいと思います。

区分オフィスはまだまだブルーオーシャン

一方で「Investment=資産防衛」の考え方は、少しずつですが広がりつつあるとも感じています。前著を2年前に出版して以降、不動産業界の変化を感じるからです。

マンションを建てて売っているような会社も今後はその道が厳しいと感じているようで、私と同じようにビルを扱う企業(上場企業)が出てきています。タマホームのような有名企業までもビル投資の価値に気づきはじめました。

この市場は今やブルーオーシャンからレッドが混じりつつある「パープルオーシャン化」してきているのです。

かつて、ワンルームマンション投資が出はじめた頃も同じような感じでした。最初、ワンルームマンション投資に対して、金融機関は融資をしてくれませんでした。

しかし、マイホーム購入よりも、投資用不動産のほうがデフォルトリスクは少ないことがわかると、徐々に融資されるようになってきたのです。今ではワンルームマンション投資は当たり前の世界になっています。

ビルも同じです。今はまだ「ビル投資=一棟買い」のイメージのほうが強いですが、徐々に区分オフィスのニーズが顕在化してきています。

これも考えてみれば当たり前で、事務所を借りたい企業は一棟ではなく基本的には1フロアで借りますよね。そんな当たり前のニーズが広がってきているだけなのです。このような投資機会を活かさない手はありません。

パープルオーシャン化してきている区分オフィスの中にも、まだブルーオーシャンと呼べる領域は存在します。

大手企業や上場企業の区分オフィスの場合、ビル一棟を仕入れてバラして売ろうとします。当然、利益が乗るのでビル一棟を階数で割ったときの各区分オフィスの単価よりも値付けは高くなります。

しかし、意図的に区分化されていない、単独で売っている区分オフィスであれば割安に買えることがよくあります。私は主にそのような物件を仕入れて、クライアントに提案しています。そのような目線で相場観を養い、不動産サイトや不動産会社とともに物件探しをすれば、割安な物件を見つけることはできるのです。

現金を持つより不動産を持ったほうがいい時代

不動産投資へのアレルギーとともにもう1つ、根深く残っている考え方として「現金主義」があります。

バブル経済の崩壊とその処理の失敗以降、日本は後に「失われた30年」と呼ばれる長期デフレに陥りました。他の先進国が成長する中で日本だけが経済成長を遂げられませんでした。

2000年にはG7の中でもっとも豊かな国だったはずの日本は、たった23年間のうちにもっとも貧しい国になってしまったのです。

このマイナス成長の約30年の間、日本では投資よりも貯金こそが安全資産とされていました。現金を持っていることが一番安全で、投資よりも貯金のほうが資産を確保できると考えられてきたのです。

しかし、その時代はもう終わりました。ロシアーウクライナ紛争以降、日本のモノの価格は上がり続けています。モノの価格が安くなるデフレとは異なり、コストプッシュ型ではありますがインフレ傾向に転じているのです。

一方、金融機関の金利はメガバンクの定期預金でも0.002%。100万円を1年間預けても利息はたったの20円しか受け取れない事態が続いています。利回りを考えれば、もはや現金を預貯金にしてもモノの価格の上昇には対応できないのです。

そのことをわかっている政府は、日本人の意識を投資に向けようとNISAなどを推奨していますが、2023年3月末の時点でNISAの総口座数は1,237万口座、全人口の10%にも満たない状況です。

お金を現金で持つより、投資でモノに変えたほうが価値は上がるにもかかわらず、そのことに気づいていない人が多いのです。

オフィスビルの話で言えば、10年前に1億円で買えた物件は、現在では2億円を出さないと買えなくなっています。東京のビルの価格は10年前に比べて2倍近くに上昇しているからです。

仮に1億円を10年間、定期預金にしていたとしても2億円にはなりません。しかし、ビルの価格は上がっています。言い換えるなら、10年前の現金1億円は現在ではもう1億円の価値がないということです。

もし、あなたに数千万~数億円以上の内部留保があるのなら、おすすめは何かしらの「モノ」に変えて投資をすることです。理由は10年後にその内部留保が現在と同じ価値だとは限らないからです。あなたが内部留保を持っていればいるほど、失われていく価値は大きくなる(失う額も大きくなる)と考えていいでしょう。

青木 龍

株式会社Agnostri(アグノストリ)代表取締役社長

※本記事は『御社の新しい収益基盤を構築する 区分オフィスビル投資術』(ビジネス教育出版社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。また、投資による結果に編集部は一切責任を負いません。投資に関する決定は、自らの判断と責任により行っていただきますようお願いいたします。

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