【J2「バランス」】清水、MF矢島の見事すぎるFKなどで競り勝つ ホーム無敗に秋葉監督「ホームでは負けないんだ、勝点を取れるんだ」(1)

見事な右足でのFKを決めた清水MF・矢島慎也  撮影/中地拓也

■清水は矢島の直接FK弾で先制する

「超攻撃的」が、しぶとい。

J2リーグ第16節が5月25、26日に行なわれ、首位の清水エスパルスは26日に水戸ホーリーホックと対戦した。前日に試合のあった2位のV・ファーレン長崎、4位の横浜FCが揃って勝利しており、清水は白星をつかんで勝点差を保ちたい。前節の横浜FC戦で黒星を喫しており、連敗を避けるためにも勝利がほしい一戦である。

水戸は13節終了時点で濱崎芳己監督との契約を解除し、森直樹コーチを監督に昇格させた。そこから2勝1分と、勝点を積み重ねている。

清水はFW北川航也とFWカルリーニョス・ジュニオを2トップに置く4-4-2でスタートした。左CBに大卒ルーキーの高木践(たかぎ・せん)を今シーズン初先発で起用し、ダブルボランチの一角に8試合ぶりの先発となるMF白崎凌兵が入った。

前節の横浜FC戦では背後へのボールに後退を強いられた清水だが、この日も長身FW寺沼星文をターゲットとするロングボールを受ける。一方の清水もDFラインの背後へボールを入れることで、相手守備陣を下げる。そして、24分に試合を動かした。ペナルティエリア外で得た直接FKを、MF矢島慎也が右足でねじ込んだ。壁の上を通過したあとに軌道を落とす、見事な一撃だった。

ところが、27分に追いつかれてしまう。水戸の右CKからのセカンドボールを、MF長井一真にペナルティエリア外から強烈に蹴り込まれたのだ。

前半は得点シーンを除くと決定機はなく、このまま1対1でハーフタイムを迎えた。

■8試合ぶり先発のMF白崎が決勝ヘッド

後半開始とともに、清水の秋葉忠宏監督が動く。カルリーニョス・ジュニオを下げて、MF乾貴士を投入する。乾はトップ下のポジションに入り、システムは4-4-2から4-2-3-1へ変更された。

背番号33を着ける元日本代表がパスの中継点になることで、清水はショートパスをテンポよくつなげるようになる。そのなかで、53分にスコアを刻む。右SB原輝綺がペナルティエリア右手前からクロスを入れると、ゴール前に詰めていた白崎がヘディングシュートを右上スミへ突き刺した。白崎は今シーズン初得点だ。

その後も乾が攻撃のテンポを整え、リズムを生み出し、スイッチを入れることで、清水は相手守備陣を慌てさせる。乾が関わることで得点機を迎えるが、3点目を決めることはできない。

2対1のまま推移する75分、秋葉監督は北川に代えてドウグラス・タンキを、MFルーカス・ブラガに代えてDF住吉ジェラニレショーンを投入する。システムは3-4-2-1に変更される。

ここまで2CBと相手の2トップが同数になる場面があったが、3バックにすることであらかじめスペースを埋めた。セカンドボールの回収にはダブルボランチが目を光らせ、相手の攻撃の芽を摘んでいく。84分に住吉のボール処理からピンチを招いたが、相手のシュートミスに救われた。

87分には高木に代えてDF吉田豊を投入し、原が右ウイングバックから3バックの右CBへ下がる。逃げ切りのメッセージを選手たちは受け取り、最終盤は水戸に攻め込まれたものの、清水は2対1のまま終了のホイッスルを聞いた。これでホームでは負けなしの7勝1分である。

試合後のフラッシュインタビューに応じた秋葉監督は、「ホームでは負けないんだ、勝点を取れるんだというのがある。それを今後も続けて、必ず優勝して終わりたい」と話した。次節はレノファ山口FCのホームに乗り込む。ここまで6位と好調の相手を倒すことで、再び連勝街道が見えてくる。

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