いじめ、不登校、家庭問題… 「気兼ねなく相談を」 青森市子どもの権利相談センター、活動12年目に

西市長(右から2人目)に2023年度の活動を報告した(左から)沼田、関谷、小林の各委員

 子どもや保護者らからいじめや不登校、家庭問題などに関する相談を受け付け、助言や支援をする青森市の「市子どもの権利相談センター」が今月、活動12年目を迎えた。年間延べ数百件に上る相談を受け、当事者と面談するなどして解決に尽力してきた。関係者は「気兼ねなく相談できる場にし、今後も実効性のある援助をしていきたい」と話している。

 「扱いを間違えれば大きな問題につながってしまうこともあるが、子どもと一緒になって人権について考えていけば、成長の機会にもなる」

 17日、同センターの「子どもの権利擁護委員」を務める関谷道夫さん(臨床心理士・公認心理師)、小林央美さん(元大学院教授)、沼田徹さん(弁護士)の3人が青森市役所を訪れ、西秀記市長に2023年度の活動を報告した。自殺願望のあった子どもを救ったケースや、複数年にわたり180回ほど電話でやりとりを重ねた家庭もあった。

 同センターは市子どもの権利条例に基づき、市が13年5月に設置。雇用した調査相談専門員3人が電話や手紙などで相談を受け付け、子どもの権利擁護委員が助言などを行う。市子育て支援課に事務局を置く。

 同センターによると、相談受付件数のピークは16年度の延べ856件で、コロナ禍の期間に減少し、23年度は延べ278件(前年度比30件増)だった。子を持つ親も相談でき、子育てに関する相談も多いという。

 同センターは学校などに赴き、子どもたちと一緒に人権について考える出前講座も行っている。関谷さんは「相談センターが発足して12年目になるが、今でもいじめや体罰、虐待などで苦しんでいる子や親はいる。困っていることがあったら気兼ねなく相談していただきたい」と話している。同センターへの相談はフリーダイヤルの専用電話(0120-370-642)へ。

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