岡山市の施設改修工事の費用支払いを巡り岡山地裁は岡山市が工事業者に対し「1億7000万円を支払う」和解案を提示

岡山市が老朽化した施設の改修工事の費用支払いを巡って提訴されていた問題で、岡山市は、岡山地裁から工事業者に対し1億7000万円を支払うよう和解案が提示され、和解手続きを進めていることを明らかにしました。

岡山市によりますと、2015(平成27)年度に発注した岡山市北区一宮にある岡山市一宮浄化センター施設の改修工事で、大阪市淀川区の水ingエンジニアリング株式会社西日本支店と33億4260万円の契約を「性能発注方式」で結びました。

「性能発注方式」とは、発注者が必要とする性能を示し、受注者はその性能を満たすものを提案し、設計・施工する方式のことで、発注者の求める性能を満たせば、基本的に受注者の裁量で施工が可能だといいます。

改修工事は、し尿等を処理した処理水を公共下水道へ放流するための放流管を敷設するものでしたが、2016年8月ごろ、岡山市が当初参考として示していた放流管ルートが施工困難であることが判明したため、放流地点と放流管ルートを変更し、工期を延長する必要が出たといいます。

2017年2月ごろ、工事業者から岡山市に対して設計変更の要求がありましたが、岡山市は「この工事は性能発注方式のため、当初の契約金額の範囲内で対応すべき」と主張し、工事完了まで協議を継続していました。

その後、工期の変更については契約を締結しなおしましたが、追加費用については合意に達しないままの状態で、2021年6月に工事が完了したということです。

その後、工事業者は岡山県建設工事紛争審査会に対し、追加費用について調停を申請しましたが、その翌年、審理の結果、合意の見込みがないという理由で調停が打ち切られました。

そこで、2022年8月、工事業者は岡山地裁に請負代金等請求事件として約2億9000万円を請求する訴えを起こしました。

これに対し、今年2月、岡山地裁は「放流管ルートが変更となったことは、岡山市が主張する『当初の施工条件の範囲内』とは言えず、設計変更の対象であり、岡山市は必要な費用を負担すべき」などとして、岡山市は工事業者に解決金として1億7000万円の支払い義務があることを認める和解案を提示しました。

岡山市は、これを受けて「岡山市が主張する『性能発注の適用範囲』の解釈が適切ではないという指摘を真摯に受け止める」として和解手続きを進めるということです。

岡山市は、再発防止策として、工事内容等を様々な視点でチェックする体制を構築するため、環境局内に設計審査会を新設し、他部局の専門知識を有する技術職員の助言や指摘などを踏まえて適切な発注に努めると話しています。

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