岡山放送、Jリーグ初のサッカー手話実況生配信を実施 / Screens

岡山放送株式会社(本社:岡山市北区下石井二丁目10-12 、以下OHK)は、4月28日にシティライトスタジアムで開催された「明治安田J2リーグ第12節ファジアーノ岡山VS清水エスパルス戦」を地上波で生中継するとともに、YouTubeのOHK公式チャンネルにて「手話実況」を同時生配信した。Jリーグ中継での手話実況は国内初の取組となる。

手話実況とは、OHKが30年継続している手話放送とスポーツ実況中継のノウハウを生かし、誰もが当たり前にスポーツ観戦を楽しめる環境を創出しようと、一般財団法人トヨタ・モビリティ基金(以下、基金)の助成を受け、2022年秋に日本で初めて実施した実況スタイルで、音声実況を健聴者が手話通訳し、それを見たろう者が自身の言葉として手話で実況する画期的な取組となっている。

OHKはこれまでモータースポーツとマラソン競技で手話実況を実施してきたが、今回初となるサッカーではファジアーノ岡山と協力し、地上波でサッカー中継を放送すると同時に、インターネットで手話実況を配信した。

当日のスタジアムでは、聴覚障がいがある大野志織さん親子が、スマートフォンで手話実況を見ながら観戦した。普段からサッカー観戦を楽しんでいる大野さん親子は、「これまでホイッスルのタイミングや意味が分からなかったり、観客が静かになったり盛り上がったりするのかが分からなかったが、今日は手話による実況や解説のおかげで、本当に聞こえているかのような感覚だった」と感想が寄せられている。

https://youtu.be/In-8sk_mLA0

また、手話への理解を図ろうと試合当日の朝、試合会場のシティライトスタジアムでろう実況者らが運営ボランティアを対象に手話講座も開かれた。この講座はファジアーノ岡山とOHKが行ったもので、ろう実況者らが講師を務め、ボランティアスタッフなど関係者に「なにかお困りですか」などの簡単な手話表現を教えたという。

AI技術の革新により、CGによる手話表現も可能になり、場所や時間を選ばず手話で情報発信できる環境が実現しつつあるが、OHKはこれからも聴覚障がい者が持つ豊かな表現力、状況に応じた柔軟性を最大限に生かし、スポーツの臨場感や感動を伝えていくという。OHKは今後も放送局として誰もが情報にアクセスできる環境づくりを推進するとともに、2025年に日本で初めて開催されるろう者のオリンピック「デフリンピック」に向け、障がいの有無にかかわらず誰もがスポーツ観戦を楽しめる機会創出を目指し、「情報から誰一人取り残されない社会」の実現へ努めていく方針だ。

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