解体修理に向け当麻寺仁王像の吽形像を搬出 阿形像は仁王門に戻る - 奈良県葛城市

修理のため仁王門から搬出される吽形像=27日、葛城市当麻の当麻寺

 奈良県葛城市当麻の当麻寺(葛本雅崇住職)で、仁王門に安置する仁王像(金剛力士像)のうち、「吽(うん)形像」(江戸時代、市指定文化財)の解体修理に向けた搬出作業が27日、行われた。

 「仁王像」の修理事業は、2021年から始まり、頭部にミツバチが巣を作るなど損傷の激しかった「阿(あ)形像」の修理が先に完了。作業が行われた「なら歴史芸術文化村」(天理市杣之内町)から22日に同寺に戻った。

 吽形像も同様に解体して緩んでいる接合部を組み付け、欠損部分の修理、クリーニングや剥落止めなどが行われる。市の補助事業として修復を計画し、事業費は2体合わせて約1800万円。完成は2025年度の予定。 

 吽形像はヒノキの寄木造りで高さ339.5センチ。阿形像は解体修理時に造立1763(宝暦13)年と判明し、吽形像もほぼ同時期と考えられるという。

 搬出作業は20日から開始され、両腕や頭などは解体して先に搬出済。この日は、白い布に覆われた胴体部分を作業員が鎖でつり上げ、仁王門の隙間から慎重に運び出してトラックに載せた。

 葛本住職は「当初に近い姿になって戻ってこられたら、また次の100年、200年と続いていく」と話した。

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