犬を『留守番』させるときのリスク2選  長時間待たせる行為は要注意

犬の「留守番」事情

「犬を一度も留守番させたことがない」という飼い主さんもいらっしゃる中、仕事の都合や買い物、通院などの用事で犬に留守番をさせたことがあるという方は、ペット飼育者の中でおよそ8割~9割に上るそうです。

また、『犬の飼い主の半数以上が、1週間のうち4日以上の留守番をさせている』という調査結果がありました。

留守番をさせている時間の長さはご家庭によって様々ですが、一番多いパターンは「1日あたり4~5時間」。一人暮らしや共働き家庭などの場合は、1日に8時間以上も留守番をさせている場合もあるようです。これは、本来群れで暮らす犬たちにとって大きなストレスになっている、と考えられます。

犬の室内飼いが一般的になった現代、たとえ愛犬が「留守番」を上手にできていたとしても、「家の中」という狭い環境下で、ひとりで数時間も留守番させることのリスクについて、今一度考えてみる必要があるかもしれません。

犬を「留守番」させるときのリスク

たとえ短時間でも大好きな飼い主さんと離れて留守番をするのは、犬にとってストレスになるものです。その結果、普段は穏やかに過ごせている愛犬でも、留守番させられることでさまざまなリスクが生じてしまう可能性があります。

そこで今回は、犬を「留守番」させるときのリスクについて解説します。愛犬に留守番を既にさせている場合も、これからさせようと検討中の場合も、今一度確認しておきましょう。

1.室内のいたずらをされる

犬を留守番させる際に、室内でケージやサークルに入れずフリー状態にしている方もいらっしゃいます。犬がある程度成犬で落ち着いている場合、ついつい「大丈夫だろう」と軽く考えてしまいがちですが、実は注意が必要です。

留守番でストレスがたまると、ゴミ箱、クッション、ペットシーツ、ティッシュなどを破壊していることがあります。これらはまだ片付ければ済むものですが、場合によっては扉や床などをかじって破壊することもあります。留守番は運動不足にもなるので、そのストレスを破壊活動に向ける場合もあります。

また、これらの行動には、誤飲のリスクや、電気コードなどの危険物を破壊することで火災のリスクも大きく上昇してしまいます。

犬を留守番させる際は、破壊できない丈夫なケージやサークルに入っていてもらうほうが、犬にとっても安全です。また、ガスの元栓を閉めたり電気製品のプラグを抜いたりしておくなど、即座に火災に繋がらないよう配慮することも大切です。

2.心身の不調に気付きにくい

こちらは、留守番を何回もさせてしまった場合に起こりうるリスクかもしれません。

一緒に生活をしていたとしても、飼い主が不在がちになると愛犬の様子をよく観察する時間が減少します。その結果、愛犬の心身の不調に気づきにくくなるというリスクが発生します。

食欲の有無、毛艶、運動量、元気など、毎日よく観察することで犬の「いつもの状態」を知ることができるのですが、一緒にいる時間が短くなればなるほどこの観察ができず、結果としていつも通りなのか、不調なのかを見分けることができなくなるのです。

留守番をさせた前後は、普段よりできるだけ多くスキンシップやコミュニケーションをとり、体に痛いところはないか、元気はあるか、歩行の様子はおかしくないかなどをチェックしてあげましょう。

「留守番」が続く場合は特に注意

たまたま1回だけの留守番を上手にクリアできたとしても、留守番をさせる回数が続いてしまったりすると、場合によっては犬にストレスがかかることもあります。

「今まではできていたのにトイレの粗相が多くなった」「今までいたずらしなかったものに対して執着して破壊する」などの行動が愛犬に見られた場合、愛犬の心に大きなストレスがかかって「分離不安」に陥っている可能性が考えられます。

分離不安になっている場合、飼い主の顔が見えないだけで不安で不安で仕方なくなっている状態ですので、「留守番をしていても必ず飼い主は帰ってくる」ということを、ゆっくり時間をかけて教えてあげる必要があります。

いきなり長時間の留守番をさせるのではなく、まずは「隣の部屋にいく」「姿を隠す」などの「飼い主の顔を見せない時間」を少しずつ経験させて、徐々に愛犬に飼い主不在の状況に慣れてもらいましょう。

まとめ

今回は、犬を「留守番」させるときのリスクについて解説しました。

犬にとって「留守番」は、心身に大きな負担とリスクを生じさせる可能性があります。

そのため、仕事などでどうしても留守番をしてもらわなければいけない場合、愛犬の安全を十分確保してあげることや一緒にいる時間にしっかりとコミュニケーションをとってあげることが大切です。

留守番中は静かで落ち着ける場所に置かれたケージやサークルで、なるべくゆったりと過ごせるように、あらかじめ留守番時の環境を整えておいてあげましょう。

愛犬に「留守番」させた場合は、できる限り早く帰宅し、安心させてあげることを忘れずにいたいですね。

(獣医師監修:後藤マチ子)

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