劇団☆新感線が博多座にカムバック! 「バサラオ」出演の生田斗真、中村倫也が思いを語る

博多座(福岡市博多区)で、7月7日~8月2日まで上演予定の2024年劇団☆新感線44周年興行・夏秋公演 いのうえ歌舞伎「バサラオ」。その取材会が福岡市内で行われ、出演者の生田斗真中村倫也、そして福岡出身で劇団主宰・演出のいのうえひでのり氏が登壇し、公演への思いや意気込みを語った。

「バサラオ」は、主演を務める生田の生誕39年を記念しての“サンキュー公演”とも銘打たれ、2020年4月に新型コロナウイルスの影響で博多座公演の全日程が直前で中止となった生田主演の「偽義経冥界歌」以来の、博多座“カムバック公演”でもある。「ヒノモト」と呼ばれる国で幕府と帝が相争う時代を舞台に、自分自身の美しさを武器にこの世を掌握しようともくろむ男・ヒュウガ(生田)と、謎多き男・カイリ(中村)がバディとなって、人々を巻き込みながら天下取りを目指す物語だ。

生田は「2020年の公演が中止になってしまい、その時会えるはずだったお客さまに会えなかったことをとても残念に思っていました。今回はあの悔しさをすべてぶつけたいです」とリベンジを誓う。そして、「コロナや自然災害などいろいろなことがありますが、演劇、エンターテインメントが人々の心を救うと思います。そういう世界に自分が立っている喜びを感じさせてもらえるのが演劇の舞台。その上で、何か皆さまの人生を豊かにできる演目になるといいなと思います」と意気込んだ。

博多座初登場となる中村は「しっかり稽古をしていいものを作って、それを福岡・博多座で最初に見てもらうというのはこのカンパニーにおいて意義があることだと思います。『偽義経~』もですが、コロナ禍は業界全体のいろんなところで涙をのんだ作り手やそれを楽しみにしていたお客さまがいたと思うので、今回“リベンジ”と前面に押し出すことは演劇界においても大きい。4年前、自分は当事者ではなかったですが、しっかりとその思いを背負う一員として博多座で初日を迎えられたら」と話す。続けて「福岡で最初に何を食べようかなと思っています。お薦めを教えてください」と、福岡グルメにも前のめりだ。

コロナ禍以降、意識的に明るい作品を上演してきた劇団☆新感線。しかし、今回は楽しいばかりでない、今までと一味違ったダークな世界観に挑戦する。いのうえ氏は「やっとやりたいことをそこまで気にせずにやれるようになりました。これまではどうしても閉塞感があり、せめて劇場の中だけでも明るいものを、と心掛けていたような気がします。でも僕自身、もともと“悪いヤツ”が好きで。悪者がガンガン悪いことをするというのもスカッとして面白いなと思っていました。そんな中、今回は悪の限りを尽くす主人公の話です。斗真くん演じるヒュウガが美しい顔で言葉巧みに人を誘いだまし、そして天下を狙う。ピカレスクロマンが好きな方にはハマるのでは」と明かした。

生田のキャスティングありきで始まったという「バサラオ」。そこに熱い思いで名乗りを上げたのが中村だった。2人は、16年の舞台「Vamp Bamboo Burn~ヴァン!バン!バーン!~」での共演以来、プライベートでも親交を深め“T(斗真)T(倫也)コンビ”とも呼ばれている。

お互いの俳優としての印象について聞かれ、生田は「歌も踊りもお芝居もできて、できないことは何なのだろうと腹が立つくらいです(笑)。すべてを自分の中でコントロールできる俳優さんなので、共演者としてはとても心強く、尊敬しています」とべた褒め。そんな中村は「とても心強い座長です」と照れながら答え、「プライベートで仲がいいと、真面目な芝居で恥ずかしくて笑っちゃいそうになるので、それが前回と違う点。ニヤニヤしないように気を付けたいです」と笑顔を見せた。また、「個人的なことを言うと、自分が主演でない舞台は久しぶりなのですごく甘えたいと思います」と2歳上の座長に信頼を寄せる。それを受けた生田も「甘えるんですよねー、中村倫也は。お兄ちゃんお兄ちゃんって(笑)」とまんざらでもない様子だった。

役どころについて、ヒュウガと似ている部分を聞かれた生田に対し、中村が「顔が美しい…」と横からささやく場面も。そのまま生田が「顔が美しいところです」と回答すると、すかざず中村は「フゥー!」と盛り上げ、記者を笑わせた。一方、中村は「僕は普段から何考えているか分からないと言われることが多いので、カイリが物語を運んでいくうえで少し不穏な雰囲気を出していけたら」と、自身と役柄を重ねた。

続いて共演者の話題に。今回、生田と中村が劇団公演での共演を切望していた看板俳優・古田新太が2人と対峙(たいじ)するゴノミカド役で登場する。5度目の劇団☆新感線の作品で、古田と初共演となる生田は「ようやく念願かなっての共演です」と感慨深げ。中村は「古田さんのいる新感線の稽古場を見たことがないので、その雰囲気を見るのが楽しみです」とにやり。ほかにも、りょう、西野七瀬、そして、粟根まことをはじめとするベテラン劇団員らも出演する。

最後に、中村は「演劇を見たことがない人、見ないまま、劇場に来ないままの人生を送る人もいると思います。それでも演劇は劇場に来ないと体験できないエンターテインメントのジャンルなので、ぜひご縁だと思って見に来てほしい」と呼び掛け、生田は「2020年の公演がかなわなかった時、博多座のスタッフの方にもたくさん愛情をいただきました。博多座25周年という記念すべきタイミングで帰って来られてうれしいです。すてきな街の中心に立派な劇場があることを多くの方に知っていただき、ぜひ足を運んでいただければ」と思いを述べた。

なお、2024年劇団☆新感線44周年興行・夏秋公演 いのうえ歌舞伎「バサラオ」は、博多座を皮切りに、東京・明治座で8月12日~9月26日、大阪・フェスティバルホールで10月5~17日まで上演される。

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