選択的夫婦別姓について国会議員と市民らが対話 香川では全議会で意見書可決「ボールを次へ」

結婚する時にどちらかが改姓して同じ姓にするか2人とも改姓しないかを選べる「選択的夫婦別姓制度」について市民と国会議員、地方議員らが話し合う集会が26日、高松市で開かれました。

選択的夫婦別姓制度を願う香川県民の会、通称「ぼそぼその会」と、ジェンダー平等社会の実現を目指して活動する「あすには」が開いた車座対話集会です。

香川県関係の国会議員8人に声を掛け、与野党の3人が出席。県議会や市・町議会の議員、市民ら約50人が参加しました。

香川県では全議会で国会への「意見書」可決

香川県では2024年3月までに県議会と県内の全ての市・町議会で「選択的夫婦別姓制度」の法制化や議論活性化を国会に求める意見書が可決されました。
その裏では、ぼそぼその会のメンバーが多くの議会で議員に対する勉強会や陳情を行い、望まない改姓による不便さを伝えたり、制度に対する誤解を解いたりしてきました。

集会では意見書を可決した議会の議長らが採決までを振り返りました。
保守系の議員が多い小豆島町議会も、ぼそぼその会の勉強会を経て全会一致で意見書を可決しました。

(小豆島町議会/谷康男 議長)
「食わず嫌いじゃないんですけど、頭から『夫婦別姓けしからん』というような最初、雰囲気は確かにあったんですけどね。やっぱりお話することが一番。よくよく話をしたら何の不都合もないなというのはよく分かるんです」

参加した国会議員からは……

(公明党/谷合正明 参院議員)
「地方がまず動いている。市民社会がしっかり動いているということ、更には今年に入って経済界も一緒になって動いているということを考えたときに、本当に立法府が1日も早く動いていかなきゃならない」

(国民民主党/玉木雄一郎 代表)
「ほとんど(の政党が)賛成で、端的に言うと自民党だけ反対なんですね。もっと正確に解像度高く言うと、自民党の一部の方が反対で進まないんですよ」

(自民党/三宅伸吾 参院議員)
「主要政党で党として『これやるぞ』と決めてないのは我が党だけでございますので、本当に恥ずかしい」

車座対話集会 市民からの声は

(国際結婚で夫とは別姓の女性)
「反対している人がいるというのはみんな分かっている。その人たちが何がダメで引っかかっているのかを知りたい。もっと具体的に教えていただきたい」

(三宅伸吾 参院議員)
「少なくとも、この問題で反対をしている自由民主党の一部の方がおっしゃっているのは、『夫婦の名前(姓)が別だと家族が壊れる』と」

自民党の三宅参議院議員に質問を投げ掛けたのは、国際結婚をして夫とは別の姓で生活している高松市の女性です。

「(自分の家族は)全く何も問題なく、一体感が失われたとか一つも思ったことがないので、これはやっぱり偏見というか思い込みみたいな。その反対されている方たち、一体感がなくなると言ってる方たちも経験してないじゃないですか」

5年半前に結婚した際、きちんと議論しないまま妻に改姓させたことをいま後悔しているという男性もいました。

「(選択的夫婦)別姓が導入されることを僕も強く望んでいて、妻が自分のものじゃなくなるとか全然思わないですし、名字がどうで関係性が変わるってことはないかなと」

仕事で旧姓を使い続けてきた76歳の女性は、81歳の夫とともに参加し、「改姓をしたい」という思いを打ち明けました。

「私は自分自身でありたいとずっと思っていまして。先祖もあるのに、私もあるのにって思いながら、それをこらえてきました。私は(姓を)変えたいんです。ところが(今の制度だと)離婚の選択肢しかなくなりますので、離婚を選択することは全く望んでいないんです。私たちにはもう時間がないんです」

(ぼそぼその会/山下紀子 代表)
「議員さんたちとお話ししていると、ゆっくり議論していけばいいよとか、時間がかかってもいつかかなうよとか言ってくださる方もいるんですけど、もうあした、あさって(制度導入を)待っている方がいる。自分の名前で死にたいと言っている方がいるし、実際にかなわないまま亡くなっている人も今現実にいる、高松市にもいるということも知っていただけたらなと思います」

集会では「両親の姓が別だと子どもがかわいそう」という意見について、親の離婚・再婚によって自分の名字を強制的に変えなければいけない子どものほうが苦しんでいるという声も紹介されました。

「ボールを次へ…」集会を終え、議員・主催者は

(自民党/三宅伸吾 参院議員)
「この制度がないから困ってるんだという本当に心の叫びをお聞きして。国会にしっかり届けなければなりません。自由民主党、一部反対がございますので、反対の方にもご理解をいただくために、国民の声が今こうなってるんだということを伝える一つの大事な機会だったと思います」

(一般社団法人あすには/井田奈穂 代表理事)
「可決するだけではやっぱり意味がないので、国会で動いてもらうための意見書でしたから、今回、国会議員の方々に受け取ってもらえたなと。ボールを受け取って次へ走ってくださいと、そういう思いを込めてできて本当によかったなと思います」

(ぼそぼその会/山下紀子 代表)
「直接、国会議員の方に伝えるという機会ってなかなかないので、こういう車座集会が、本当の意味での車座集会が全国各地で開かれたらいいなと思います」

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