KONAMIのweb3プロジェクト「PROJECT ZIRCON」初のファンミーティングをレポート!自分のキャラクターが冒険に出る「NFTクエスト」も発表

5月24日に開催された、KONAMIのweb3プロジェクト「PROJECT ZIRCON」のファンミーティング「PROJECT ZIRCON:会員制Barネオンの集いvol.1」の模様をお届けする。

「PROJECT ZIRCON」は、キャラクターをNFTとして保有し、その名前やプロフィール、能力などを決めることによって、架空の世界に参加できるKONAMIのweb3プロジェクトだ。「Community is game.(冒険と創造の毎日を)」というビジョンを掲げ、Discordコミュニティの中で遊びながら一つのゲームを作り上げていくweb3プロジェクトとして、2023年9月の東京ゲームショウ(以下、TGS)で発表された。

そんな本作初のファンミーティング「PROJECT ZIRCON:会員制Barネオンの集いvol.1」が、KONAMIが運営するeスポーツCAFe&BAR「STROPSe」で開催された。

■1枚の地図から始まったweb3プロジェクトがコミュニティメンバー10,000人越えの一大プロジェクトに

会の始めには、コナミデジタルエンタテイメント 専務執行役員の小林康治氏が乾杯の挨拶を行った。小林氏は、第1回目となるファンミーティングを開催できたことへの喜びとユーザーへの感謝を述べた後、「『PROJECT ZIRCON』をKONAMIを代表するweb3事業に育てたい」との意気込みを語った。

また、「今回の盛り上がり次第では、2回目、3回目のファンミーティングをもっと大きな会場で行いたい」と今後の希望を口にして会場を沸かせた後、ユーザーたちとともに乾杯を行った。

続いては、「PROJECT ZIRCON」ファウンダー/プロデューサーのShiro氏が登場。Shiro氏は、これまで「PROJECT ZIRCON」を一緒に創り上げてきたユーザーたちが目の前にいることを「めちゃくちゃエモい」と感慨深げに話しながら、改めて本プロジェクトのこれまでの歩みを振り返った。

“コミュニティメンバーとコンテンツを共創しながら遊ぶ”を理念に掲げる「PROJECT ZIRCON」だが、この理念には「企業が作ったコンテンツをユーザーが遊ぶという、これまでのゲームとは違うものを作りたい」という想いが込められている。そこにweb3やコミュニティ、UGC(ユーザー生成コンテンツ)、生成AIといった最新技術を用いることで、新時代の超巨大IPとして成長させていきたいとShiro氏は考えているそうだ。

そんな本プロジェクトは、4つの国と龍が描かれた1枚の地図から始まった。2023年のTGSではこの内容しか決まっていなかったこともあり、Shiro氏は「当時これを見た人は『無理だろ、1ヵ月後には終わってるだろう』と思っていたのでは」と感じていたという。

しかし、「PROJECT ZIRCON」のコミュニティはどんどん広がり、現在はコミュニティメンバーやXのフォロワー数が10,000人以上、累計日本語コメント数123,261件というコンテンツに成長した。web3やNFT市場のプロジェクト調査やアドバイザーなどの活動を行うpalpal氏から「日本で随一のコミュニティ形成に成功している」と言われるほど、本プロジェクトは盛り上がりを見せている。

ここで改めて、「PROJECT ZIRCON」について紹介しよう。本プロジェクトでは、ユーザーを5人集めて趣味のギルドを作る「ギルド」、公式やユーザーが開く「イベント」、二次創作・商用利用OKというガイドラインに基づいてユーザーが立ち上げる「プロジェクト」、世界観やストーリーをユーザーとともに創り上げる「コミュニティゲーム」の4つが行われている。

そのうちの「プロジェクト」では現在「プロジェクト内プロジェクト」が進行しており、「RPGツクール」やボードゲーム化のプロジェクトが進行中だ。また、ギルド内にある「フィジカルグッズギルド」では「PROJECT ZIRCON」のイラストを使用したオリジナルTシャツなどを作っているそうで、Shiro氏がイベントで着用していたTシャツもその一種として紹介された。

メインのゲーム部分である「コミュニティゲーム」は、ユーザーが所属している各国に選択肢を表示し、国民(ユーザー)が出した決断を基に公式のストーリーが進行していくというもの。こちらは半年ほど続いており、現在はストーリーが佳境を迎えているとのことだ。

「PROJECT ZIRCON」は、現在ユーザーの皆で企画やシナリオを創る、フェーズ1の段階だ。また、本日5月27日からは初のNFTセールが開催されている。

今後の展開としては、2024年よりメディアミックスや海外展開を行うフェーズ2に進み、ユーザーたちと創ってきたシナリオをもっとわかりやすい形にしていきたいと考えているそうだ。Shiro氏は「『PROJECT ZIRCON』をweb3の世界で留めるつもりは一切なく、どんどん広げていきたい」と語り、小説や漫画などの多くの人が触れやすい状態にしていきたいと熱意を語った。

「PROJECT ZIRCON」の歩みを振り返ったところで、アンバサダーであり「PROJECT ZIRCON」のマーケティングの一部を担う全力まん氏が登場。今回初の顔出しとなる全力まん氏は、プロジェクトマネジメントを13年ほど行う傍ら、副業としてSNSのマーケティング支援もしており、3年前からは本業を兼ねてweb3のプロジェクトにも携わっているそうだ。

全力まん氏の紹介を終えたところで、「web3プロジェクトとしてのZIRCONの可能性」をテーマにしたゲストトークが行われた。数々のweb3プロジェクトを経験してきた全力まん氏は、「プロジェクトをローンチするのはいいタイミングだと思っている」と話した。

と言うのも、3年前にNFTが流行りだしたときはプロジェクトを立ち上げた瞬間に価格が上昇し、なかには10億円の値段が付くものなどがあったからだ。現在はだいぶ落ち着いており、適正価格になっている。

こういったこともあり、それ以前にスタートしていたプロジェクトの参加者は投資家が多く、コミュニティのメンバーが活発に議論するものは少なかったのだという。一方、「PROJECT ZIRCON」が発表された1年前は「NFT冬の時代」と呼ばれているタイミングで、投資家があまり入らなかったために、結果的にコミュニティの土壌が育ちやすかったのだそうだ。

Shiro氏もまた、自分なりにNFTの本質を考えていたとのこと。その結果、NFTは「みんながここに所属している」というアイコンや意義であり、それが面白いから“共創”につながっているのではないかと話した。

続いて登壇したのは、同じくアンバサダーの岡田篤宏氏。「TRPG&マダミスカフェ モノドラコ」の店長である岡田氏は、Shiro氏が客として来店したことがきっかけでプロジェクトに参入することになった。

岡田氏は最初に「PROJECT ZIRCON」の話を聞いたときのことを振り返り、「世界観がほとんどないところに驚愕した」と語った。普段はしっかりとした地図があって世界観が練られており、ファンタジー設定も作られている状態からストーリーを創っていくそうだが、本プロジェクトでは単語設定からスタートしたのだという。

これに対しShiro氏は、「ゲームクリエイターが作ったシナリオを出すのでは今までとゲームと同じになる」と説明。「“あえて”魅力的な余白を残して、皆でストーリーを創っていきたかったんです!」と話していた。

「PROJECT ZIRCON」のストーリー構成の話題では、「ユーザーによるDiscordの書き込みを取り入れながらストーリーを創っていけるのが楽しい部分」と岡田氏。キャラクターの台詞やアイテム設定がリアルタイムで書き込まれていくので、そういったものを活かしてストーリーを創っていけるのが特長だと語った。

ここで、会場のユーザーにこれまでのストーリーでよかったものを聞いていくことに。敵としてやってきたガイコツの戦士団を筋肉の力で仲間にする、「ガイコツ戦士団」がよかったとの声が挙がった。岡田氏も「筋肉のないガイコツが筋肉に感動する点が深い」ということで、お気に入りのエピソードのようだ。

そんなコミュニティゲームだが、現在はドラゴンと戦う佳境の展開を迎えているそうだ。今後どうなっていくのか? という問いについて、岡田氏は「『ストーリーによって国が滅んだりキャラが死んだりしてもいいのか?』と聞いた際、それもアリでは? と言われたんですよね……」と不穏なエピソードを口にしつつ、「敵は強大なものとして考えている。結構激しいオチにしたい」と話した。

Shiro氏は、「(国やキャラクターを)滅ぼさないためには今のクエストが重要になるので、各国の国民たちにお声がけしてください」と、ユーザーたちに参加を呼び掛けた。

■生成AIによるテキストで毎回異なる冒険が楽しめる「NFTクエスト」が発表!

本イベントの目玉となったのが、新サービス「NFTクエスト」の実装だ。NFTクエストとは、毎週表示されるクエストに自分の作ったキャラクターNFTで設定を作って参加することで、レベルが上がったりメモリアルカードが作れたりするというものだ。冒険のテキストはAIによって生成されるため、同じパーティーメンバーで参加しても台詞や展開が変わっていく。

会場では、Shiro氏、全力まん氏、岡田氏の3名のほか、会場のユーザーと作ったキャラクターの4名で実際にクエストに挑戦することに。まずは3名が事前に作ってきた各々のキャラクターを紹介した。

続いては、会場のユーザーとともにキャラクターを作成することに。キャラクターは見た目、名前、人生の目標、ジルパワー、台詞の5つをリアルタイム投票によって決定する。

キャラクターの見た目は魔法少女を思わせるホウキを持った女の子に決定したが、名前はなんと、会場の“総意”により「専務」に決定。この時点でカオスな気配が漂い、上司を背に進行を余儀なくされたShiro氏は冷や汗を流しながらステージに立つこととなった。

人生の目標は、魔法少女や「専務」という肩書きに引っ張られたものが候補に挙がる中「社長になる!」に決定。残りの2つは多数挙がった候補の中から岡田氏と全力まん氏がいいと思ったものを選ぶ形で、ジルパワーが「部下を全員魔法使いにする」、セリフは「なるようになるわよ」に決定した。

全てのキャラクター設定が決まったところで、早速NFTクエストをプレイすることに。クエストは章ごとに表示される4つの選択肢をパーティメンバーで選び、多数決で決めながら進めていく。選択の内容によってストーリーの展開が変わっていくので、Discord上での議論や通話でコミュニケーションを取りながら決定していくのが重要になりそうだ。

今回は、「ワイバーン」の討伐というクエストに挑戦。選択肢が現れる回数などはクエストによって変化するそうだが、今回は3章立てで3つの選択肢を選ぶ内容となっていた。

Shiro氏ら4人は、「戦いを避けて罠でワイバーンを捕らえる」という誰も傷つかない作戦で討伐に挑戦。専務の指導力の高さなどを活かして道中のトラブルにもしっかり対応したものの、あえなくワイバーンの群れに敗北してしまった。

なお、NFTクエストの結果はレベルやスキルを加味して決定される。Shiro氏らはレベル1の状態で挑戦したため、そうしたことも敗因につながったようだ。

NFTクエストの終了後には、参加したメンバーとクエストの結果が書かれた「メモリアルカード」が出力されるほか、各キャラクターのレベルもアップする。クエストをクリアすると、勝利報酬も得られるようだ。1キャラにつき週1回遊べるように実装が進められているそうなので、遊んでみたい人は今のうちにキャラクターNFTを取得していくといいだろう。

実際にNFTクエストをプレイした全力まん氏は「昨年12月に開発の話を聞いていたが、3~4ヵ月で形になったのはすごい」と感想を述べた。また「生成AIとNFTは誰もが使いたかったものだが、それを両立させるとは……」と、NFTクエストのシステムに感動した様子を見せていた。

岡田氏は「今までGM(ゲームマスター)がやっていたものを、AIによる美しい語り口で遊べるようになるのは恐ろしくもあり楽しくもある」と、仕事を奪われる危機感を口にしつつ、TRPGに携わる人ならではの視点で語った。TRPG界隈でも「将来的にはAIがGMを務めるのでは」という意見が出ているそうなので、そうした予測が一つの形として実現したようだ。

最後にShiro氏が「今回は敗北してしまったが、勝利する選択肢も用意されています。皆さん、ぜひ遊んでください!」と会場に呼びかけ、メインステージが終了した。

イベントの後半ではユーザー同士による歓談タイムが設けられたほか、「専務」のキャラクターNFTがもらえる抽選会が実施された。普段Discord上でやり取りしているユーザー同士が初めて顔を合わせて交流できる場ということもあり、各所から楽し気な笑い声や拍手が聞こえてきたのが印象的だった。

最後にはShiro氏が再び登場し、「TGSでの発表時には、ここまで成長するプロジェクトになるとは誰も考えていなかったと思う」としみじみ語りながら、改めてファンへの感謝を述べた。「5年後には東京ドームでイベントを!」という大きな目標も掲げ、「おつジルでした~!」という掛け声とともに、盛況のままイベントが終了した。

筆者は今回初めて「PROJECT ZIRCON」に触れたのだが、Shiro氏やアンバサダーの方々はもちろん、参加しているユーザー全体からも熱気が伝わってくる活気あふれるプロジェクトだと体感した。その熱気の理由は、企業とユーザーが一体となってコンテンツを創り上げるからこそ生まれる一体感にあるのだと思う。

また、今回発表されたNFTクエストをはじめ、リアルタイムでの交流が新たな展開を生んでいくというゲーム性は、リアルイベントとの親和性も高いように感じた。

今後もさらなる盛り上がりが予想される本プロジェクト。本日5月27日からはNFTセールも開始されているので、少しでも気になる人は参加してみるといいだろう。

「PROJECT ZIRCON」公式サイト
https://zircon.konami.net/

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