<レスリング>【2024年明治杯全日本選抜選手権・特集】優勝選手の声(男子フリースタイル)

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(2024年5月23~26日、東京・東京体育館/取材=布施鋼治・渋谷淳・粟野仁雄ほか、撮影=矢吹建夫)


■57kg級・新井陸人(自衛隊=アジア王者を破って初優勝)「全日本(レベルの試合)で優勝するのは初めてなので、素直にうれしいです。決勝の相手には前回(昨年12月の全日本選手権決勝)はテクニカルスペリオリティで負けていた。今回は負けたくなかった。競った闘いを勝てたことは、これからの自信になると思います。(相手はアジア王者になった選手だが)それほどの意識はなかった。挑戦者の気持ちでやりました。

がぶり返しは、試合ではあまり使ってきませんでしたが、練習ではしっかりやっていて、ここぞ、というときにかけられるようにしています。(ワダスペシャルも)練習してます。試合で使えるようにしたい。(2023年アジア選手権3位のあと)日本一のチャンスはありましたが、つかみ切れなかった。気持ちの弱さがあったのかもしれません。今回は優勝しても世界につながらない大会ですが、これを機に勢いづけたい」


■61kg級・小野正之助(山梨学院大=JOCジュニアオリンピックU20に続いて優勝)「上の階級からも下の階級からも(強い選手が)来るなあ、と思った。そんな中で勝ったのはよかった。軽量級は、国内で勝てれば世界でも勝てるようになっていると思う。世界にはばたけるようになりたい。今日は相手(西内悠人)に何もさせなかったのがよかった。

レスリングは4歳くらいから始めた。ほかのスポーツと違って、才能では勝てなくても努力で上回れる面が多いと思う。この2年間、けがが多かった。今日、田南部選手(魁星=全日本チャンピオン)が棄権した。悔しく、苦しいと思う。その気持ちが分かるので、そういう人たちの分もがんばります」


■65㎏級・秋山拓来(自衛隊=決勝で同門の小川航大を撃破して優勝)「初めて全日本(レベル)の大会で優勝できたので、うれしい。小川選手にはいつも練習でやられている。ただ、練習と試合では全然違っていたので、やりづらさは全然なかったです。勝因は『ここで負けたら、もうあとがない』という気の持ち方だったと思います。

自分はすぐ逃げ腰になるので、逃げないで前に出る姿勢を強化していきたい。乙黒圭祐コーチに最初に感謝の気持ちを伝えたい。いつも見てもらっている。ほめてもらうこともあるけど、厳しい面もある。そのおかげで今回の優勝があると思う。教えてもらったことのすべてに応えていないし、難しいけれど、もっと精進して期待に応えていきたい」


■70kg級・青柳善の輔(クリナップ=全日本選手権に続く優勝で、世界選手権出場を決める)「これで世界選手権の代表に決まったので、今年はそこで優勝したい。(4月の)アジア選手権は、守って最後に負けてしまった。今回は攻め続けることが課題。リードしても最後まで前に出てガンガン攻めました。受けなかった。去年の世界選手権の逆転負けは守ってしまって負けた。今年は攻め続けたい。

次は74kg級でやっていきたい。クリナップという字の重さを感じました。会社の看板を背負っているので、勝ててほっとしました。同期の清岡幸大郎選手(三恵海運)が、オリンピック代表に決まって、それがモチベ―ションになっている」


■74㎏級・山下凌弥(日体大=高校時代までは全国王者なし。4月のJOCジュニアオリンピックU20に続いて優勝)「ふだんの階級(70㎏級)より上の階級での挑戦だった。結果を残せたので、めっちゃうれしいです。階級を上げたのは、70㎏だと出場枠の関係で出られないかもしれないと思ったからです。髙橋海大先輩がひとつ上の階級にエントリーしていたので、チャンスはあるかなと思っていました。

冬の試合のない期間にいろいろな先輩に練習相手になってもらったおかげで、結果を出すことができました。自分はフィジカルに自信がなかった。髙橋先輩と一緒にウエートトレ-ニングをさせてもらって、力強さを身につけることができました。今までの自分は試合で力を発揮できるタイプではなく、本番に弱いタイプだった。でも、いろいろな先輩たちの私生活も見て勉強になったことも、今回の優勝につながったのかなと思います」


■79㎏級・髙橋海大(日体大=全日本選手権74㎏級優勝から階級を上げ、本戦とプレーオフを勝ち抜く)「ふだんより力の強い79㎏級の選手を相手に、自分の持ち味であるスピードが通用することを証明できたと思います。プレーオフの神谷(龍之介)は大学の後輩。知っている相手であり、知られてもいる相手。第2ピリオド、攻められなかったのは反省点です。

自分が目指しているのはロサンゼルス・オリンピックで優勝すること。どの相手とやっても勝てるような実力をつけて、パリに出られなかった悔しさを持ち続けて、走り続けたい。今回、体重は76㎏か77㎏くらいでした。世界選手権は体重とか関係なく、自分のレスリングが通用するところを見せたい」


■86kg級・白井達也(佐賀県スポーツ協会=大学の後輩の髙橋夢大に予選リーグと決勝で連勝して優勝)「日ごろ一緒に練習している選手なので、やりづらい面もある。勝ってほっとしている。夢大(高橋)はタックルが強みで、距離をあけるとやられるので、ひたすら前に詰めて勝ちに行った。

石黒さん(隼士=パリ・オリンピック代表内定選手)が出場してないので、『次は自分だ』という意思表明のつもりで臨みました。アジア選手権では世界の5位の選手といい勝負ができたので、ちょっと自信がつきました。ロサンゼルス・オリンピックに向けては、基礎体力から上げなければならない。去年のU23世界選手権でアメリカの選手にぼこぼこにされて、その選手が(世界王者の)デービッド・テーラーを破った。フィジカル面から違うと思った。国体が(地元の)佐賀であり、今年は大きな1年になる。自分を見直して改善していきたい」


■92㎏級・石黒峻士(MTX GOLDKIDS=決勝とプレーオフで三浦哲史を連破。世界選手権出場を決める)「決勝では結構攻められたので、続くプレーオフでは焦らず、流れをよくつかみながら闘えたと思います。古巣のGOLD KIDSに戻っての第1戦だったので、いい再スタートになった。プレッシャーはなく、最後まで全力を出して闘うことができました。今日は12年ぶりに成國(晶子)先生にセコンドについてもらった。気持ち的にもうれしかった。結果で恩返しできて本当によかった。

(弟の隼士がパリ・オリンピック内定を決め)大きな刺激になりました。気持ちの切り換えになったというか、『隼士は頑張っているのに、オレは何をしているのか』とさえ思いました。レスリングをやめようと考えたこともあったけど、隼士がオリンピックの枠を取ってきたときに『兄がこんなにクヨクヨしていたらダメ』と思い、もう一度全力でレスリングをやってみたいと思いました」


■97㎏級・吉田ケイワン(三恵海運=予選と決勝で伊藤飛未来に連勝して初優勝)「弟(吉田アラシ)がパリ・オリンピックのアジア予選と世界予選に出て、自分はパートナーとして行かせてもらったんですけど、現場で世界のレベルの高さを知ることができた。いつも負けている石黒(峻士)先輩が階級を下げたし、(この大会の)優勝は大前提。内容的にもいい試合をしないといけなかった。優勝することはできたけど、課題もあったので、素直によかった、とは言い切れない。

でも、全日本での優勝は初めてなので、自分がやってきたことは間違っていなかったのかなと思い、自信にはなりました。背の高い伊藤選手はやりづらい相手だった。そんな相手に連勝できたことは、喜んでもいいのかな、と思います。周りからいろいろ聞いて、その中から自分ができることを選んで対策したきた。弟から『対策を考えすぎると、逆に自分の持ち味が出せない』と指摘され、そればかりに頼らないようにはしていました」


■125kg級・園田平(自衛隊=2018年国体以来の優勝で、全日本レベルは初優勝)「全日本の大会に出るようになって、決勝に出ることはあっても、優勝できないでいた。5回か6回、決勝に出ていると思うけど、一回も勝っていない。本当に苦しかった。何が勝てない原因なのかを探して、必死になってやってきたので、本当にうれしい。去年の全日本選手権で勝てず、レスリングをやめようと思いましたが、家族に引き止められ、続けて本当によかったです(涙声)。

思い切って闘おうと思って、今回は減量のない125kg級に出ましたが、今後の階級はまだ決めていません。いつも山本泰輝(125kg級全日本王者)とスパーリングやっているので、特別に(相手が)重たい、とは感じなかった。山本とやってきたことが自信になって闘えました。決勝の後半に最高の調子が出ました。まだ次のオリンピックまでは見えませんが、社会人の大会や国体など、目の前にあるものをひとつひとつこなしていこうと思います」

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