台風想定し水防訓練 久慈川下流域5市村 茨城・常陸太田

堤防の漏水の拡大を防ぐ「月の輪」を作る水防団員=常陸太田市粟原町

久慈川下流域を管轄する茨城県内5市村による久慈川水系連合水防訓練が26日、同県常陸太田市粟原町の久慈川河川敷で行われた。梅雨や台風シーズンなどの出水期を前に、各自治体の水防団員が水防工法に取り組み、水防体制の強化や防災意識の高揚を図った。常陸太田市は今春に配備したばかりの排水ポンプ車を出動させた。

水防訓練は常陸太田、日立、常陸大宮、那珂、東海の4市1村の輪番で実施している。この日は5市村の水防団員約250人をはじめ、国や県の関係者ら計約360人が参加。台風に伴う大雨で久慈川の水位が上昇し、警戒水位を上回るとの想定で訓練に臨んだ。

参加団員はポリエチレンの袋を使った土のう作りや堤防を越える水を防ぐ積み方、堤防の漏水の噴出口に土のうを積み拡大を防ぐ「月の輪」など、河川が増水した際に堤防を補強するための伝統的な水防工法の訓練に取り組んだ。

常陸太田市の排水ポンプ車の実技指導では、同ポンプ車の排水能力や使用する際の条件などを説明。実際に排水ポンプに浮輪やホースを取り付け、増えた水をポンプで吸い出すための設置作業を実施した。国交省関東地方整備局の照明車の機能なども説明された。

同連合水防訓練本部長の宮田達夫常陸太田市長は「各訓練をつぶさに見せてもらった。訓練参加者は真剣に取り組み、いざ災害という時に今日の訓練が有効に実践されると実感している。5市村の団員が絆を強めて連携する心構えが深まった」と講評した。

訓練後、常陸太田市消防団の佐藤信照団長は「実排水は行わなかったものの、排水ポンプ車は相当な効果を期待させてくれた。訓練を生かして災害に即応できる組織をつくっていきたい」と話した。

常陸太田市が配備したばかりの排水ポンプ車で、排水ポンプの設置作業に取り組む水防団員=常陸太田市粟原町

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