蓮舫氏の都知事選出馬で思わず喜んだ立憲議員らの〝本音〟 国政出戻りを避けるべく一致団結

白のスーツで出馬会見に臨んだ蓮舫氏

東京都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)は立憲民主党の蓮舫参院議員が27日に名乗りを上げたことで、3選を目指す小池百合子都知事と事実上の一騎打ちになりそうだ。蓮舫氏といえば国会で舌鋒鋭く首相や大臣を追及する姿がよく知られている。蓮舫氏の転身で国政政党として攻撃力は下がりそうだが、党内からは「良かった」と出馬を歓迎する声がある。どうしてなのか。

これまでも都知事選のたびに候補に挙がってきた蓮舫氏がついに決断した。トレードマークの白いスーツに身を包んだ蓮舫氏は集まった約100人の報道陣を前に、「この夏、予定されている東京都知事選に立候補いたします」と静かに語り出した。

「今、私が身を置いている国政では政治とカネの問題への対応が急務です。自民党の改革案からは変えるんだという本気度が感じられず残念です」と自民党政治への不信を告白。続けて、4月の衆院補選や26日の静岡県知事選の結果を挙げて、「国民の声ははっきりしています。自民党政治の延命に手を貸す小池都政をリセットしてほしい。その先頭に立つのが私の使命」と、自民党と接近する小池氏を打ち倒すと明言した。

小池氏が2016年に都知事選に立候補したときは「私から見てもまぶしくて、カッコよかった」と評価するも、「でも、この8年間の彼女の実績はどうでしょうか。(小池氏が公約に掲げた)『7つのゼロ』はどこにいったのか」と首をかしげた。一方で小池氏の学歴詐称疑惑には「ご本人が説明しないといけないことだ」と深入りを避けた。

無所属となり、「反自民都政、非小池都政」を旗印に立憲、共産党、社民党などがバックにつく。小池氏は都民ファーストの会のほかに、自民党や公明党が支援をするとささやかれている。大政党のバックアップを受ける2人による一騎打ちが予想される。

永田町関係者は「先週の時点で立憲の都連幹部が『一騎打ちにしたい』と話していました。蓮舫氏のことが念頭にあったのでしょう。また、これまで名前が挙がっても固辞していただけに、今回は勝てると踏んでいるのではないか」と分析した。

一方で、大注目となった蓮舫氏の転身に「良かった」と話すのは立憲関係者だ。「朝の速報で思わず笑顔になりました。ある議員も会うなり笑顔で『良かった』って」と明かした。

一体、何が良かったというのか。蓮舫氏の攻撃力がなくなるのは痛手ではないのか。「蓮舫氏は国会で追及型の質問を担当してくれるのでその点はありがたい。しかし、実は党内でも国会で見せる姿と同じなんです。議員同士で打ち合わせをやると、『そんなんじゃダメなんじゃないか』と詰めてくるタイプ。それがなくなるのは良かったなあと」(同)

国会での厳しい追及は国民にとっても有益なもの。だが、蓮舫氏には同じノリで党内議論もやってしまう生真面目さがあるという。「負けたら衆院にくら替えっていう話もあるんですか? いや、そうならないためにも絶対に勝ってもらわないといけない」(同)と、国政出戻りを避けるため党内は勝利に向け一致団結しそうだ。

都知事選には広島・安芸高田市の石丸伸二市長ら20人以上が立候補を表明している。

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