仮想空間で合掌集落の魅力網羅 富山県の南砺市と五箇山と岐阜・白川村が連携、サイト開設

合掌造り集落を再現した仮想空間。アバターになって集落内を散策できる

 富山県南砺市と岐阜県白川村は27日、世界遺産の五箇山と白川郷の合掌造り集落の魅力を伝えるウェブサイト「白川村・五箇山の合掌造り集落 世界遺産センター」(デジタルヘリテージセンター)を開設した。歴史的な背景や世界遺産としての価値、家屋の構造などを網羅し、博物館のように学びを深められる内容。メタバース(ネット上の仮想空間)も採用し、集落を再現している。

 五箇山と白川郷は、1995年に世界文化遺産に登録された。年間で合わせて約300万人の旅行者が訪れる一大観光地となっているものの、これまで集落の価値や歴史を一体的に紹介する施設やコンテンツがなく、村の働きかけでサイトを作ることにした。

 五箇山の相倉と菅沼、白川郷の荻町の各集落をパノラマスカイビューで見られるほか、歴史的な成り立ちや、養蚕、塩硝(えんしょう)など合掌造りを生み出した産業的な背景、家屋の構造などを紹介している。

 仮想空間では、自分の分身となるキャラクター「アバター」を使って集落内の散策を楽しめる。イベント時には最大1万人の同時アクセスが可能という。

 南砺市と白川村が27日、白川村役場で発表した。連携してサイトを設けるのは初めてで、南砺市文化・世界遺産課の平本光一課長は「ウェブ上に展開する利点を生かし、さまざまな調査・記録を集約し地域内外に発信したい」と語った。

 国の補助金を活用し、事業費は2千万円。今後、多言語化を進める。

世界遺産としての価値や歴史などを伝えるデジタルヘリテージセンターのコンテンツ
デジタルヘリテージセンターの概要を説明した発表会=岐阜県白川村
合掌造り集落を再現した仮想空間。アバターになって集落内を散策できる

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